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〔 彼方 side 〕
午後の講義はすごく静かだった 。
ポカポカ陽気でお昼終わりだから 、 みんな眠たくて半分以上の人は夢の中 。
隣に座った宮原も夢の中にお散歩中だ 。
最初は起こそうかと思ったんだけど 、 午後一番の講義が俺の苦手な分野だったからそうもいかない 。
起こす時間があるなら真剣に話を聞いてたいんだ 。
龍ちゃんとさとちゃんは相変わらず真剣に話を聞いてる 。 偉いなぁ 、 さすが頭いい組だ 。
さとちゃんは見ての通り真面目で努力家だから 、 勉強もかなり結果が出る 。 龍ちゃんはもともと頭が良いから 、 授業を聞いてるだけで成績はいつでも上位 。
俺は居酒屋のバイトと勉強を両立させるのに精一杯だ 。
でも 、 宮原はどうなんだろう 。
成績とかバイトの話なんかしたことないからよく分かんないけど 、 頭良さそう 。
「 …… 宮原ぁ 、 」
まだまだ知らない宮原のことを知りたくて声をかけるけど 、 目を閉じたまま動かない 。
寝てるのかな 。
さっきも疲れてそうだったし 、 ゆっくりさせてあげよう 。
俺の方に顔を向けたまま眠る宮原の前髪を払ってやると 、 俺は真面目に先生の話に耳を傾けた 。
悟 : 「 あ〜終わった終わった 。 よし 、 遊びに行くぞ 。 」
龍 : 「 みんなお疲れ様〜 、 って … 悟 、 待って 。 」
終わりの鐘が鳴ると 、 生徒はそそくさと帰っていく 。
さとちゃんは腰を上げて遊びに行くぞと張り切っている 。
だけど宮原がまだ眠ってるんだ 。
「 宮原 、 宮原 。 」
凛 : 「 ……… ん 、 なに 。 」
「 講義 、 終わったぞ 。 皆で遊びに行く約束だろ? 」
凛 : 「 はいはい … 分かったから 、 起こして 。 」
深いため息を零しながら顔を上げた宮原は 、 俺に片腕を伸ばした 。
その腕を引いて立たせようとするけど 、 宮原の方が重くて俺が引きずられるだけだ 。 身長差があるから余計に重たい 。
唸りながら引っ張る俺に 、 宮原はニヤニヤ笑うだけ 。
「 早く 、 立てよ! 」
凛 : 「 ごめんって 、 ほら行くよ 。 」
満足した宮原は俺の手を掴んで入口付近で呆れた顔して待ってるさとちゃんの元に向かう 。
なんだよ 、 最初から一人で立てるならそうしろよ 。
まったく 、 世話がやける男だな 。
とは思っても 、 こんなくだらないやり取りでさえ楽しい 。 俺の手を引く宮原の手は暖かくて 、 そっと握り返した 。
悟 : 「 イチャつくなバカップル 。 」
凛 : 「 は? 」
先頭を歩くさとちゃんにどこ行くのって聞いても 、 さぁな〜と答えるだけで何も教えてくれない 。
龍ちゃんは半歩後ろを歩いて 、 俺たち三人をニコニコ見守ってる 。 なんか 、 母さんみたい 。
大学から歩いて五分ほどで 、 先頭のさとちゃんは歩みを止めた 。
顔を上げると 、 そこは俺が大好きなゲームセンター 。 思わずそわそわしてしまう 。
宮原の手を引いて中に入っていくと 、 その後ろをさとちゃんと龍ちゃんが着いてくる 。
「 すっげぇ!!なぁなぁ宮原 、 あれ取って! 」
凛 : 「 なんで俺が … 。 」
悟 : 「 あのぬいぐるみ 、 彼方が好きなやつなんだよ 。 彼氏なら取ってやれ 。 」
凛 : 「 …… 別にいいけど 。 」
宮原の腕に自分の腕を絡めて眺めてると 、 邪魔だと言われて引き剥がされた 。
ムスッとして龍ちゃんの隣に寄り添う 。
俺が見つけたサメのぬいぐるみは俺の抱き枕になるぐらいとっても大きくて 、 つい一目惚れしてしまった 。
だって強くてかっこいいサメが寝る時はいつも一緒に居てくれるんだ 。 すごく嬉しいことじゃないか 。
コインを入れてクレーンゲームに望んだ宮原は一発でゲットしてくれた 。
しかも俺が欲しいって言ったグレーのサメ 。
腕の中に大切に抱いて宮原を見上げると 、 いつも無表情なのにふわっと笑ってくれた 。
そして頭をクシャッと撫でる 。
今日からこいつは俺の抱き枕だ 。
よろしくな 、 グレーのサメ 。
「 ありがとう 、 宮原 。 めちゃくちゃ嬉しい! 」
凛 : 「 … あっそ 。 」
あ 、 照れてる 。
俺から目線を逸らす時は 、 照れてる時だ 。
なんだよ可愛い所もあるじゃん 。
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