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〔 彼方 side 〕
お昼休憩が終わって横峯と別れると 、 龍ちゃんは凛を連れて先に教室の方へと行ってしまった 。
その後ろ姿を見つめることしか出来ない俺 。
一人残されて 、 その場で突っ立っている事しかできない 。
どこで間違えたんだろう 。
きっと 、 恋愛対象が男だと気付いた時からだ 。
両親にも嫌われたし 、 周りの人には迷惑をかけるし 。 友達だと思っていた人は 、 みんな離れた 。
俺ってほんとに 、 ダメだなぁ 。
「 …… どうしよう 、 」
このまま帰ろうかな 。
なんか 、 今は誰にも会いたくない気分 。
さっきまでみんなと話せて嬉しいって思ってたのに 、 今は誰にも会いたくないって 。 俺の心 、 不安定すぎない?あ〜もう 、 面倒 。
悩んだ末に龍ちゃんと凛には帰ると連絡を入れて 、 久しぶりに自分のアパートへと帰ってきた 。
必要なものは凛の家に持っていってるから 、 また揃えなきゃいけない 。
だけど 、 今は何もやる気にならなくて面倒だ 。
一日くらい食べなくても死なないよな 、 とお風呂に入ったらすぐ寝ることにした 。
─ ピンポーン 、 ピンポーン
誰だ 、 睡眠の邪魔をするのは 。
何もかも忘れるために寝たいのに 。
荷物かな 、 頼んだ覚えはまったくないけど 。
玄関に向かう途中 、 鏡を見たら寝癖ボサボサで眠そうな顔の俺と目が合った 。
気持ち程度に跳ねた髪を撫でて 、 扉を開ける 。
「 はぁ〜い …… え 、 」
そこにいたのは郵便屋さんでも水道管の工事員さんでもない 、 俺の恋人だった 。
どうしてここに居るんだろう 。
寝ぼけた頭で考えながら 、 無表情な男を見上げた 。
あ 、 俺たち喧嘩したんだっけ 。
凛 : 「 …… 別に 、 俺は怒ってない 。 拗ねてもない 。 ただ 、 なんで否定しなかったんだって 、 少しムカついた 。 」
それ怒ってるってことじゃん … 。
怒ってないって言ってるわりには唇曲がってるし 。
なんか 、 矛盾ばっかりだな 。
このまま玄関先で話し合う訳にもいかないので 、 何もない部屋に案内した 。
凛は周りを見回して 、 部屋の真ん中にどさっと座る 。
「 えっと … 俺 、 咄嗟に何も言えなくて 。 否定したら横峯の優しさを断ることになるし 、 肯定したら凛が傷つくし 。 隠したいって 、 言ってたから 。 」
凛 : 「 それは 、 ごめん 。 俺がお前の彼氏だって 、 言えれば良かったな 。 」
「 ん〜ん 、 俺は大丈夫 。 それより 、 凛は大丈夫か? 」
傷ついてないだろうか 。
泣いてないだろうか 。
凛の手を取って 、 顔を覗き込んだ 。
いつも無表情なはずの凛は 、 少しだけ表情を和らげている 。 なんだか嬉しそう 。
「 な 、 なんでニヤけてるんだよ 。 」
凛 : 「 彼方が俺のこと考えてくれてるのが嬉しくて 。 」
「 …… 心配して損した 。 」
くだらない理由すぎてため息が零れる 。
でも 、 なんだか擽ったい 。
凜から仲直りしに来てくれたことが 、 すごく嬉しかった 。
嬉しさで俺までニヤニヤしてしまう 。
「 へへ 。 俺 、 腹減った! 」
凛 : 「 はぁ?お前 、 ほんとに雰囲気ってものを分かってねぇよな 。 」
「 ご 、 ごめん …… 。 」
どうして怒られるんだ 。
俺のお腹がぐ〜っと鳴ったら 、 呆れたような目を向けて立ち上がった 。
もしかして 、 もう帰るのかな 。
あと少しだけ一緒に居たかったな 。
凛 : 「 なにボサっとしてんの 、 行くよ 。 」
「 え?ど 、 どこに? 」
凛 : 「 彼方の腹が満たされるところ 。 」
さり気なく俺のためにって動いてくれるところ 、 すごく好きだ 。
こんなにもスマートな彼氏が居るだろうか 。
きっと 、 どこにもいない 。
「 俺 、 凛のそういうとこ好き 。 」
凛 : 「 知ってる 。 」
二人で並んで歩く道は 、 大学からの帰り道と一緒なのに 。 少しだけ 、 楽しく感じた 。
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15ページから当ページまで、少しだけ修正しました。
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