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骨肉のヒョンジェ-03-
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ある日トユンと二人で留守番を任された。
「ヒョヌはトユンの面倒を見て頂戴。お手伝いさんは少しの間買い物に行ってくるから留守をお願いね」
ママは父さんの会社のランチパーティーに行くと言いお手伝いさんは夕飯の買い出しに出掛けると言う。トユンと二人きりで留守番なんて珍しい事だ。
僕はトユンに遊びを提案した。
「トユン、この台の上に立って」
「何するの?」
「シャンデリアにロープが引っ掛かってるだろう? あれに身体を通すって遊びさ。この前、テレビのサーカスで輪を潜ってだろう」
「ああ! あれかぁ!」
天井のシャンデリアにゆとりを持たせたロープを括り付け足元にはワインの木箱を用意した。トユンは何の疑いもせずその木箱の上に立ってくれた。
ふと木箱に乗るトユンの足元に目をやると真っ白に洗われた綺麗な靴下を履いており僕はというとトユンのお下がりの靴下だ。
「次はどうすればいいの?」
「……次はロープの輪っかに頭を通そうか」
「うん。こう?」
「そう……」
「輪が少し小さいみたい。これじゃあ身体は通らないよ」
僕はトユンが乗るワインの木箱にそっと爪先を押し当てる。
「輪はそれで問題ない──」
「え?」
僕は肺いっぱいに息を吸い込みそのワインの木箱を爪先で思い切り蹴り飛ばした。蹴飛ばされた木箱は音をたて倒れ、中のワインボトルが割れたのか赤い液体が大理石の床にじわじわと広がっていく。
トユンは踏み台を失った事により何もない空間に身体を浮かばせていた。真っ白な靴下は上下左右に激しく揺れて動いている。
「あぅっ! おに……ちゃ……!」
ロープに小さな指を入れて必死で酸素を吸おうとするトユンの動きに合わせロープを括っているシャンデリアが大きな音を立てる。
その様子を見ていられなくなった僕は苦しそうに藻掻き苦しむトユンから目を反らした。
「ヒョ……ヌ……」
すると遂にトユンの体重に耐え切れなくなったシャンデリアが天井から落下した。雷でも落ちたかのような音と共に砕けたシャンデリアの破片が針のように僕の身体に突き刺さる。その痛みで現実世界へと引き戻された僕は自分が犯した惨劇を目の当たりにした。
「ト……ユン? トユン!」
深紅の水溜まりの上に横たわるトユンは息をしていない。手が切れることなんかお構いなしにシャンデリアの破片を掻き分け動かないトユンの身体を抱え起こし名前を叫び続けた。
「僕は……なんて事を……トユン! トユン! 目を開けてくれ! トユン!」
揺さぶってもトユンは目を覚まさない。
それどころか息もしていなかった。
「ただいま戻りました──」
この最悪な状況下でお手伝いさんが戻ってきてしまった。血塗れの床と砕けたシャンデリア。そして、首にロープを括りつけたトユンと真っ赤な顔をした僕を見た彼女はワイングラスが割れるほど高い声で叫んだ。
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