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1:切れた縁
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俺は夜野 陽縁。同い年の石月 縁糸とその兄で2つ年上の石月 勇って幼馴染がいる。
母親同士が仲が良くて、それぞれの母親が『兄弟みたいにずっと仲良く、縁が続くように』という意味合いを込めて俺と縁糸には『縁』という字が付けられたのだと聞いた。
そして俺達はその願い通り、産まれてからずっと仲良しで、たまに喧嘩しても次の日には気付いたら仲直りしてるくらいにはめちゃくちゃ仲良く兄弟みたいな感覚で育った。
しかし、俺の中にもあったずっと続いていた兄弟のような絆は中学生の時に違うものに変わってしまった。
大きくなれば成る程、いさ兄もだが縁糸もかなり格好良い顔立ちに育った。二人とも顔は似てるけど、まったりした雰囲気の優しいいさ兄とは違って皆を引っ張っていけるカリスマ性を持っていて輪の中心にいるような縁糸は特にモテるようになった。告白されるのは日常茶飯事、ラブレターだって毎日のように下駄箱に入っている。
だけど俺は気付いた。
縁糸がモテればモテる程、俺の心がきつく締め付けられる事に。
『俺の方が縁糸を理解してる』
『俺の方が縁糸と一緒にいたい』
『俺の方が
縁糸が好きだ』
普通なら到底抱かぬ感情を、俺は縁糸に抱いてる事に気付いてしまった。
それからは今までのような兄弟みたいな接し方が出来なくなって、俺は縁糸を避けるようになった。
だけどいきなりそんな事をすれば縁糸だって異変に気付く。そして案の定、怒り顔をした縁糸が家に来ては、ベッドに座る俺の前に仁王立ちで腕を組んで形の良い唇を開く。
「陽縁、なんで最近避けてる訳?俺何かした?」
「別に避けてなんか…。」
俺は否定する、しかし縁糸は引かない。
でも何も言わない俺に縁糸は痺れを切らしたらしく、声を荒げていく。
「陽縁は口で言ってくれるタイプだと思ってたけど、そうじゃなかったみたいだな。行動だけで示されても分かるわけないじゃん、幼馴染だからってそうゆうの本当ムカつく。」
今まで聞いた事のない縁糸の嫌悪を表す言葉に俺の心は掻き乱され、何も考えられなくなった頭は言うつもりのなかった言葉を並べて音にしてしまった。
「縁糸が好きなんだよ!!兄弟同然に育ったのにっ…同性なのに…こんな感情間違ってるっ…だから避けた、避けるしかなかった…。」
驚いた表情の後、顔を俯かせた縁糸はただ一言だけ呟いた。
中学1年生の夏、俺は自分で誰よりも強く繋がっていた縁糸との『縁』を切ってしまったんだーー
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