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黄昏の寺 2
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「なんだよ、外にいるのか?」
「いや⋯さ寺に入ったとこまでは確かにいたんだけど」
きっかけはわからないが、突然でも成仏したなら良い。
でも、もし下宿先で待ち構えていたら⋯検索した内容を聞かされていただけにゾッとした。
譲はソレを探そうと口を開いたがと、なんと呼べばいいかわからない。
(憲次だって自称してたけど、ここで呼んだら紛らわしいよな。
憲次が駄目なら⋯)
「おい、ノリッ
どっかにいるんだろう。
早く入ってこい!」
『へーぃ』
呼ばれて飛び出てのタイミングで、ソレことノリは譲の前に落ちてきた。
地面にはぶつからす、譲と憲一の顔の位置に合わせて宙で胡座になる。
どうやら、屋根の上、譲の死角にいたらしい。
「コレだ、憲一」
間に入って遮っていた自分の身体をひねり、憲一にノリを見せる譲。
しかし、50cmも間隔が無いのに憲一の目はノリを素通り。
憲一は、目を細めたり大きく開いたりしてなんとか見ようとするが無理だった。
「いや、全然見えねぇ」
「えー、お前もかよ。
俺のこともこの辺のことも知ってるし、同郷で住職のお前ならわかると期待してたのにっ
今も、小豆色の作務衣着て浮いてんだぞ!」
「んー、まぁ、もやっとはなんか感じるんだけどさ。
多分、今このへんだろ?」
憲一の天井を指した指が、ノリの脇腹にめり込む。
一箇所にとどまらず、ふよふよ動いていたノリの動きと合っていた。
今まで誰にも信じてもらえなかった譲は、思わず拍手して喜ぶ。
「嫌な感じは無いし、誰かいる気配はするな。
あと、お前が言ってるノリ?の服が気になる。
憲次の修行先の作務衣と色も同じで、姿も似てるってんなら憲次と関係があるかもな。
心当たりが無いか聞いてやるよ。
ノリは悪さしてくるんだっけ?
ここ、一応年季が入った寺だから暫く放っておいても大丈夫そうか?」
「俺以外には何もしないと、思う」
『兄貴やら親には何もしないって。
俺が興味あんのは、ユズちゃんだけ♡』
むにゅっと尻を掴まれ悲鳴を上げる譲。
訝しむ憲一を適当に誤魔化し、食卓でご飯を囲むと泊まって行けという憲一の言葉に甘えて風呂まで借りた。
実家や下宿先より、寺の方が安心できた。
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