アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
-04-
-
累の部屋にノックの音が鳴り響いた。
「けほっ……はい」
「雨竜と晴竜だよ~。入ってもいい?」
晴竜がドアの向こうから声を掛けた。
醍醐家に養子に迎えられて一週間。
両親の他界、葬式の手続きに墓の手配、遺産相続の手続き、学校のこと──色々な事が重なりこの日、累は体調を崩してしまったていた。
乱れたパジャマと寝癖のついた髪の毛をササッと手櫛で直しドアの向こうに「どうぞ」と声を掛ける。
「おっ邪魔しまぁーす」
「こら、晴竜。累は風邪をひいているんだ。大人しくしなさい」
「ごめんごめ~ん。累、調子はどお?」
まったく同じ顔をした雨竜と晴竜が部屋へと入ってきた。累は彼等と一回挨拶をしたきりなので本当にどっちがどっちなのか見分けがつかないでいる。
累が困っていると雨竜がそれに気がついた。
「ああ! すみません。僕が雨竜です。目の下に黒子があるのが見分けるポイントです」
「そそそー。俺はねぇ……黒子が無いほうだから晴竜だよ」
「けほっ、す、すみません。マスクしますね」
雨竜と晴竜が自分達の見分けるポイントを解説すると累はマスクを装着した。
「時間帯が合わないのであまり挨拶が出来なくてすみません、お義兄さん……げほっ」
「ああっ、そんなに無理に話さなくて大丈夫ですよ」
苦しそうに肩で息をする累の首筋に雨竜がスッと手を伸ばす。
「ふぁっ!?」
「うーん……まだ熱が少し高いですね。薬は飲みましたか?」
雨竜のひんやりとした手が気持ち良いのか累は目を瞑ったままたどたどしく答えた。
「お義父さんが……午後に病院に連れてってくれるみたいなので……まだ……飲んでいません……」
「そうでしたか……では父が戻るまで僕たちが傍に居ますね」
「うん! 看病してあ・げ・る」
「ええ!? げほっ! いや、悪いです、それにお義兄さんたちも学校が……げほっ! それにうつしてしまいます……はぁ……はぁ……」
雨竜は「まぁまぁ」と言いながら起き上がっている累をそっと横たわらせた。
「今は寝ててください」
「でも……」
熱のせいで眼球が熱い。
目を開けておくのが辛いと感じる程だ。
「すみま、せん……」
累は目を瞑ると堕ちるようにすぐに眠ってしまった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
4 / 6