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碌に身体も拭わず服を着込み、追いかける背中が、徹底的な拒絶の姿勢を取っているのは一目瞭然だった。けれど、このまま分別ある行動をとるなんて、とても耐えられない。
「驚かせて悪かったよ」
「別に驚いてなんか」
ぶっきらぼうに言い捨てざま、振り返った少年の後頭部に手を添え、唇を重ねる。
本当に触れ合わせるだけの行為は、数秒ほどだろうか。顔を離した先で、彰の目は相変わらず熱っぽく、それなのに芯のところは恐ろしく冷ややかだった。じっとりと唾液に濡れた唇が緩慢に動かされる。
「何のつもりですか」
囁き声は薄い抑揚で、だからこそ非難の色が浮き彫りになる。全身を雁字搦めにされたような感覚に、譲治は数歩後ずさった。ぶつかったどっしり冷たい珪藻壁が、せっかく温もりを保っていた肉体から一瞬で熱を奪う。
ぞくぞくと身を震わせながら、それでも見開いた目を、少年から片時も離せない。柳眉から眇めた眦へと及ぶ微かな苦痛の色が、子供っぽい容貌に目眩がする程の艶を塗り添える。
この子は、何も知らない訳ではない。そう気がついた瞬間、欲情がこみ上げた。
「だって君、そんな目で見るから」
にも関わらず、譲治はわざと答えをはぐらかす。本当のところ、彼は何もかも知っていた。恐らく、当人達が知らないことまで。
じっと視線を突き刺していた彰は、やがて無言で手を伸ばした。陥落だ。まだ子供っぽい丸みが残る掌に、ぎゅっと腕を握りしめられた瞬間、譲治は好奇心に負けてしまったし、彰も間違いなく。
己の身を焦がすのはうんざりだが、人から熱烈に求められるのは心地良い、例えそれがどういう理由であれ。
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