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穏やかな日常
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テアがディオエールの城に来て1ヶ月経った。
あれから、テアはジェスに文字を教えてもらうようになった。
最初は簡単な絵本から、
そしてテーブルマナーをメイド達に教わった。
メイドの犬獣人のアメリアと
猫獣人のサリーは、
テアの事を可愛がり、あれやこれやと世話を焼くようになっていた。
言葉は拙いながらも、ちゃんと言われたことを理解出来るまでになり、たまに分からなければジェスや
アメリアとサリーに聞いている。
此処に来てから初めてちゃんとしたお風呂に入り、
あったかい場所で寝てテアは
それだけの事だが、とても幸せを感じていた。
ある日のこと。
ジェスから貰った絵本で、家族の愛のお話を読んだ。
絵には小さい男の子とその子の両親がその子を優しく抱きしめて
「あなたのことを心から愛してるわよ、
生まれてきてくれてありがとう」
という温かい物語だった。
テアは一度も家族に愛されたことは無かった。
3歳からずっと塔に暮らしていた。
ただ、一回だけ
6歳の時に塔を抜け出した事がある。
その時に出会った男の子は、テアにとって
初めて優しくしてくれた人だった。
今その子は何処にいるのだろう?
もし、その子に会えたら、もう一度お話したい、
あの時教えてもらった歌を一緒に歌って…
テアは窓の側により、ペンダントを手に握りしめて
空に向かい、綺麗な歌声を響かせた。
あの日、約束した男の子に届くように。
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