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金曜日、21時。ネットで調べたゲイバーのカウンターに座る。
「カンパリソーダ、強めで」
カクテルを煽って、滅多に吸わない煙草を咥えて、格好をつける。
カンパリソーダのカクテル言葉は『ドライな関係』。つまりセフレを探してますって意思表示。
チラチラ見られているけど、なかなか餌にかからない。
ボタンを二つはずし、胸元をわざと開ける。
ここのバーは初めてだけど、割と有名な発展場。皆、目的は同じ。
彼氏がいた時もある。
初めての男に四股されて、次の奴はアル中のDV野郎。三番目の彼氏に実印と通帳を奪われて、四度目の優しくて誠実なそいつは子持ちの既婚者だった。
見る目がない。男運が悪い。そんな言葉では片付かない。
悟ったんだ。本気になった方が負け。 男同士の恋愛に夢見ても無駄だ。
最初から期待するのをやめる。少し寂しいけど、本気になって傷つくよりはマシだから。
「あの……」
声をかけてきたのは二人組の美少年。
「三人で……とか、興味あります?」
そっと耳打ちされる。
「ごめんね。二人とも可愛くて光栄なんだけど、俺もネコなんだ」
にっこり伝える。
「え!? こんなに格好良いのに!?」
「ごめんなさい! 勘違いして」
二人が動揺しつつ謝ってきた。
よくタチと間違われる。……ネコだと言うと心底驚かれる。身長は180㎝近いし、仕方ない。
「いいよ。よく言われる。昔はタチだったけど、後ろの快感知っちゃったら戻れなくてさ」
わざと大きな声で言うと、店内のタチらしき男達がざわざわと落ち着かなくなった。
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