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「泊めて……」
そう言ってきた瑠衣の頬は腫れていた。
「お前、どうしたんだよ。それ……」
「親父にやられた」
すぐに原因にピンとくる。
「…………連日、うちに来ていたから?」
「違う。バイトしていたのがバレたんだ」
「……そうか」
思っていた通り、親が厳しいのか。
うちの親も干渉型だった。中高の頃はよく揉めたっけ。大学入ってからは少しマシになったけど。俺も嫌気がさして、よく家を抜け出していたから気持ちが分かる。瑠衣だって遊びたい年頃だろう……
「俺の親父、病院の院長なんだ。俺も医者にしたいらしくて、小さい時から毎日、塾。友達と遊ぶのも駄目。バイトも駄目。高校、大学でも変わらない。夜遊びは禁止、泊まりも禁止。俺、19なのに……」
目を伏せると長いまつ毛が揺れる。
妙に納得した。遊び人のようでいて、やけに自立していたのには訳があったのか。なんだか少し可哀想になってきた。
「友達からの遊びの誘いを断り続けて、成績だって、ずっと上位を取ってるのに、何が気にくわないんだ……」
――初めて見る。子ども染みた愚痴。
大人びて見えるけど、こいつなりに色々あるのかもしれない。
らしくないところ、見せるなよ……
手を伸ばしたのは無意識だったかもしれない。いつも余裕な顔をしている瑠衣が寂しそうに見えて――
「ケイさん……?」
思わず抱きしめてしまった。
いや、待て。この手はなんだ……
心の中で自問自答。答えずにいると、背中に手が回ってくる。
「飯は?」
「……食べてない」
「準備してやるから風呂入って温まってこい。どれだけ外にいたんだ。体、冷えてるぞ」
その晩、初めて同じ布団で寝てセックスしなかった。
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