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「瑠衣と付き合っていないなら、今すぐ関係を精算して」
俺の手をタイガが握った。
「…………同意の上じゃなかったんだろ。複数プレイを強要するなんて。見損なったぞ、瑠衣」
タイガの厳しい声に、瑠衣は目を伏せている。
「違う。俺が提案した」
居たたまれず白状し、続ける。
「関係を終わらせたくて……」
口を開けば阿呆な言葉しか出てこない。
「じゃあ、俺がもらっていいよね」
「え……」
思ってもみなかった言葉に動揺。
タイガにキスされてしまった。
一瞬、焦るけど、瑠衣はただ見ているだけ。それが全ての答えのような気がした。
一度も瑠衣とは、キスした事がなかったな……
切なくなって目頭が熱くなる。瑠衣に見られたくなくて背を向けた。
「先生、泣かないで」
内緒話をするように、耳元でそっと囁かれた。
笑える。26歳にもなって。情けねぇ……
頬や髪へ、優しくて甘いキス。抱きしめられながら、手が重なり繰り返す。
――タイガを止めなきゃ。
でも、泣いているところを瑠衣に見られてしまう。それでも――
タイガが本当に俺の事を好きでいてくれるなら気を持たせたりするのは絶対に駄目だ。
「……やめろよ」
遠くで瑠衣の声が聞こえる。
クソ。見るなよ……
「康介さん!」
無視してそっと目元を擦った。
「タイガ!」
瑠衣がタイガの肩を思いきり掴んだ。
「……出てってくれ」
小さい声で瑠衣が呟く。
「お前が連れてきたんだろ。しかも――」
「出てけ!」
あまりの剣幕にタイガは立ち上がった。
「俺も帰るよ」
二人きりになったら、何を言われるか分からない。
気まずい空気の中、急いで着替えを済ませ、逃げるようにホテルを出た。
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