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エピローグ
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「康介さん!」
乱暴にドアを開ける音がしたと同時に、瑠衣の声がして、驚いて振り向く。
なんで店に――
「今更なんだよ。昨日、追いかけても来なかったくせに」
タイガが挑発するように瑠衣を睨んだ。
「……康介さん」
瑠衣はタイガには何も言わず、俺に向き合った。
「昨夜、タイガと一緒にいた……?」
切ない声に心を揺さぶられる。
――期待なんてしたくないのに。
「お前には関係ないだろ」
息苦しさを隠し、なんでもない事のように答えた。どうしても素直になれない。
「タイガと寝たのかよ……」
悲痛な声に、本音が零れそうになる。
寝るわけないだろ。
お前が好きなんだから……
「もうセフレやめよう」
なんとか声を絞り出す。
「……写真は?」
「好きにしていい」
これ以上は無理なんだ。お前が好きなのに、体だけなんて――
瑠衣が一歩近づいてきて、ぎゅっと唇を噛んだ。
突然、スマホを差し出され、面食らう。
「……瑠衣?」
「写真」
そう一言だけ瑠衣が呟いた。
撮った写真を消していいって事か?
スマホを受け取り、スクロールしていく。
中身を見ていくが脅しの写真は一枚も見当たらない……
じゃあ、なんで最初にあんな事。
混乱しながら、スマホを見つめる。
唯一あったのは、俺の寝顔だった。
「なんだよ……これ……」
「ごめん。最初、言ってた写真は存在しない」
「は?」
「引き留めたくて嘘をついた」
瑠衣の指が俺の手に触れる。
「一目惚れだったんだ。今は中身に惚れてるけど」
瑠衣の言葉に思わず絶句。
…………今、なんて言った?
「この店も前から知っていた。でも、外では他人の振りをしろって言うから……律儀に守ってたんだ。あんたに嫌われたくなくて……」
動揺していると、タイガが何かを悟ったように、瑠衣の胸を軽く叩いた。
「…………先生を泣かしたりしたら、奪い取るからな」
それだけ言い、タイガは外に出ていってしまった。
「じょ、冗談はやめろよ。年上をからかうなんて」
真に受けてしまい、頬が熱くなる。
戸惑っていると、顔が近づいてきた。
キスしそうな距離……
「からかってない。会う度に、好きになっていって、どうしようもなかったんだ」
触れた指先が熱い。
好き……?
「…………タイガとのキスに死ぬ程、妬いた。子どもっぽいと思われたくなくて昨日は我慢したけど、後悔したよ。余裕なんて、ずっとなくて。本当はセフレなんて一人もいない。全部、康介さんがいけないんだ。嫉妬は重いとか面倒だとか言うから」
「あの時の彼女は――」
「姉貴」
俺は今まで付き合ってきた男に騙され続けてきた。見る目も男運もない。
――きっと年下の気まぐれ。それでも……
「…………俺だけにして。康介さんが好きなんだ」
瑠衣の熱を帯びた瞳に見惚れていたら、唇が重なった。
END
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