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8.独占欲
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「春…。本当にいいのか?」
「別に、セックスするぐらい…。それに、これも仕事だって思えば…」
「仕事…か」
綾人が微かに笑ったため呆れていると焦った春は、ベッドの上で座ったまま乱暴に綾人の頬を両手で掴むと、自分の唇を重ねた。
(綾人とキスしてる…)
唇を重ねた、たったそれだけのことなのに、春の心臓は全身で鼓動を感じるほど、高鳴っていた。
(やばい…。心臓の音が…)
綾人に胸の高鳴りを悟られてしまうのではないかと思った春は、一度気持ちを落ち着かせようと唇を離すが、すぐに綾人が追いかけるように唇を重ねてきた。
「んっ…」
唇を重ねながら、春は綾人に首筋を撫でられると、体に甘い疼きが走り、反射的に体を先程のように離そうとしてしまう。
だが、そんな春を逃さないように、綾人は春の背中に手を回し、そのままゆっくりと、自分の体重をかけ、春の身体をベッドに押し倒した。
「あっ…」
ベットの上に寝かされ、春は綾人を見上げるようにしながら綾人の目を見つめた。
綾人の髪と同じように色素の薄い瞳の奥に、春は綾人が何かを我慢していることを感じ取った。
(嫌、だよな…。ごめんな、また、オレの我儘でこんなことに巻き込んで…)
春は更なる罪悪感に駆られるが、ずっと手にしたかった相手がこんなにも近くにいることに、手を伸ばさずにはいられなかった。
「綾人…」
春が静かに綾人の名前を呟くと、綾人の顔はもっと近づいてきて、また唇を重ねられた。
(綾人…)
春は綾人のバスローブの紐に手を伸ばし軽く解くと、ゆっくりと前をはだけさせた。
(綺麗な筋肉…)
目の前に曝け出された綾人の適度に鍛えられた胸元に手を伸ばした春は、胸筋から腹筋まで形をなぞるように。綾人の肌を指先で辿った。
「っ…」
綾人の零れ出た熱い吐息に、春は思わず綾人の顔を見つめてしまう。
(オレが触っても感じてくれている…)
目を瞑ったまま、何かを我慢するように顔を背けた綾人は、軽く頬を赤らめていて、その姿に春は息を飲んだ
(綾人…)
春はもう一度、同じように触れようとする。
だが、その手は綾人によって掴まれてしまった。
「もう、止められないからな…」
「えっ…?」
春が聞き返そうとする前に、綾人は春のバスローブの紐に手を伸ばし解くと、乱暴に引き抜いた。
「…あや…と…」
下着も脱いでいた春は、綾人の前にすべて曝け出されてしまう。
ずっと一緒に過ごしてきて、着替えなどで肌を見せたことは何度もあったが、見下ろして、じっと見つめる綾人の視線は、すべてを見透かされている気分に春をさせた。
春はその視線に耐えられず、思わず顔を背けてしまう。
すると、床に膝立ちになりながら、ベッドの淵で頬杖をついて観察するように見つめている玲と目があった。
「…っ!」
玲と目があった春は、羞恥で顔を赤らめると、玲とは反対側に顔を背けた。
「あらら。恥ずかしがっちゃった。ハルちゃんてば、本当にかわいいねー」
「玲…。邪魔をするなら…」
「邪魔してないよー。ほら、早くー。さっき、台本には目は通したんでしょ?」
「台本…?」
春は先程、玲が足元に落とした台本を思い出す。
「あのドラマはね、独占欲をテーマにした話なの。でも、僕って独占欲を感じたことないんだ。だからどんなものか、僕にちゃんと見せてね」
(独占欲…?そんなもの、綾人がオレに対してあるわけ…)
楽しそうに言う玲に、春は不安に駆られて綾人を見上げた。
「綾人…」
枕の端を指先で必死に掴み、不安気な表情で春は綾人の名前を呼ぶ。
春の目に映る綾人の顔は、真剣だった。
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