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1.中村 和樹サイド
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オレは藍染(あいぜん)男子高校の1年、中村和樹(なかむら かずき)。朝からちょっと憂鬱だ。隣りに住む幼馴染みの松浦駿(まつうら しゅん)と、最近はケンカばかりしてる。
オレ達
なんでこうなったのかな…。
「じゃオレ 行くから。」
「あら、もうこんな時間。車に気をつけてねー♪」
「はいはい。いってきますよ~。」
学校に行く前に、キッチンで片付けをしてる母親に廊下から顔を出して挨拶をする。本人も出勤前だからか忙しそうな手元を止めて、笑顔を向けて見送ってくれた。
玄関のドアをバタンと締めてマンションの外廊下に出ると、5月特有の生温かい新緑の香りが、鼻先を掠めた。
…うん。
今日もいい景色だな。
ここはマンションの10階。
この外廊下側の景色も解放感に溢れてて、オレとしてはここからの眺めが好きだ。
胸元までの壁。
その上にヒジを乗せて、駿くんが出てくるまでうっとりと外の景色を楽しんだ。
カチャッ
「行ってきます。」
隣の家のドアが開く。
駿くんだ。
「あ。」
「駿くん、…おはよ。」
黒曜石のような真っ黒な瞳に見据えられると一瞬たじろいでしまう。鼻筋の通った美形で、駿くんは高校に入ってからどんどんイケメンになってる気がする。
「うん。おはよ、カズ。」
「朝練?」
「うん。カズもだろ?」
「うん。」
表情も変えずに挨拶を済ますと、そのまま2人して無言でエレベーターに乗って、歩いて学校まで行く。いつものこと。
でもさ、前はこんなんじゃなかった。オレ達ってもっとこう…色々と喋ってた気がするんだけど。
駿くん、今頃思春期なのかな…。
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