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ぬくもり
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「まっ!パピー・・・天使よ」
「えっ?!パピヨンなの?本当?」
「きゃぁーーーー!!可愛い〜!パピー!!!」
「シアンほらー!可愛いでしょ?!この服の方が!」
「髪の毛サラサラだねぇ!羨ましいねぇ!アリアに結んでもらうかい?」
「結んじゃうとクセつかないかしら、心配だわ、そのままでも可愛いわ」
「・・・。」
「・・・。」
「・・・俺戻っていいか。」
戻ってきた医務室でミルキーがパピヨンをみた瞬間にアリアとジーグを引っ張ってきて、天使よ!と騒ぎ出したのがきっかけだった。
「しろー〜い、肌白い!美白!!あ、足診なきゃ」
「あ、ミルキー、傷や痣もあるんだ見てくれないか?」
「玉の肌に傷?!痣?!許せんっ!!」
「み、みるきぃ・・・目が怖い・・・っ!」
あまりの迫力の強さに引くパピヨンとそれでも逃がすまいとジリジリミルキーは近寄って、最終的にシアンに抱えられた状態で診察をうけるパピヨンだった。
ジーグはしばらくして戻って行った。
「パーカーの下はタンクトップになってて、パーカーは大きいから真ん中のチャック下ろせば肩や胸までずり下げれるから、暑かったらそうして 」
「・・・ぅん」
「パピー、点滴入ってた場所綺麗にしよう!今日ご飯食べられなかったらまた点滴しようね!」
「うん・・・」
「パピー頑張れ」
「はーい、抜いたよー、押さえて、周り綺麗にして、はい!おしまい!足は1週間テーピング固定で様子見ようかな、若いからパピーが元気になったらすぐ治っちゃうよ」
「ミルキー、歩いていいよね?」
「痛くなかったらいいよ!あ、嬉しそうだねパピー、抱っこは恥ずかしかったかなー?」
「うっ…」
「赤くなってる可愛い〜!こんな弟が欲しかった!!」
「はぁ・・・パピー、朝ご飯食べに行こうか」
「いく・・・」
お腹が空いている感覚なんてずいぶん前に無くしてしまった気もするけど、自然と体がごはん、に反応してる、あぁ生きてる。
シアンについてこの医務室から逃げ出すように出た、横を歩くとシアンは歩くスピードを合わせてくれた。
人がわちゃわちゃしている、いい匂いが漂う場所、食堂。
食堂ではいくつか料理が作られていて、自由に食べれると、シアンは説明してくれて、お皿をシアンが持ってくれて俺は気になる物をシアンにとってもらった。
どうでも良くて死にたかった時期もあったのに、今は飢えてお腹がぐうぐうないている。
「お腹すいてるんだね、たくさんあるからたくさん食べなさい」
「おぉ、シアン、チビも一緒か」
「ジーグ、いつの間にか居なくなってたな」
「チビのお披露目会ときた、飯食うさ」
「チビで悪かったな!」
「私もチビと呼ばれていた時があるよ、懐かしい」
「シアンがチビ?」
ああ、そんな時もあったなと2人で笑っていた。
「昔話じゃ腹は膨らまねぇ、飯食うぞ!」
空いているテーブルに場所を貰い座る、シアンにフォークとスプーン位置を教えてもらって、ジーグにはこれもやる、これもだ、美味いぞ、とお皿にどんどん食べ物をのせてもらった。
ジーグとシアンにきいて食堂のシステムを理解する頃には、ヨダレを飲み込むくらいになっていた。
「さ、食うか!」
「食べていいよ」
「いただきます」
「いただきます出来るんだね、偉い」
「ふふう(普通)」
「誰も取らないからゆっくり噛んで食べるんだよ」
これは何?これは何?とシアンとジーグに1個づつききながら、食べていく。
なるほど?こっちの丸いのは芋でこっちの丸いのは肉か、とフォークで突き刺してもぐもぐと口に運ぶ、凄い美味い、なんだこの味、なんだこの香り!美味い、美味いこんなご飯食べたことない。
いつの間にか、俺は泣きながら食べていた、口の中を食べ物で膨らませながら泣いた、両隣でシアンとジーグが何かを察したのか、背中や頭を撫でてくれた。
その優しさもたまらなくて、涙が止まらなかった。
ジーグがぽつりと話してくれた。
「俺は元々軍の駒だった、任務中なにもありつけない事もあった、苦しい事だ、飢えってのは、死んだ奴の分まで運良く生きて帰って、最初にありつく飯の味はわすれねぇ・・・パピヨン沢山食いな」
無言で頷く。
常に空腹だった、ギリギリで食つないできた、ラッキーだった。
常に寂しかった、施設から逃げ出した夜からずっと付きまとう感情。
今までは一生満たされることのなかった2つが今は満たされていく幸福をパピヨンは温かい食事と温かい優しさで知った。
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