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蝶2
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わんわん泣いた、泣いたって何も変わらないのに、涙が止まらないんだ。
いつの間にかリンクが切れていて、気付いたら部屋のドアがどんどん叩かれていて怖かった。
トイレの床にしゃがみこむ。
「パピー!大丈夫なの?怖いの?大丈夫だから開けて!」
「パピヨン〜なんもしないよー出ておいで〜」
2人の女の人の声だ、ポーンっと通り抜ける声。
やめて、静かにして・・・頭が酷く痛むし、目も霞む、上手く息が吸えない気がする、口の中が胃酸で苦い。
バンバン叩かれるドアこれは現実?それとも夢?
洗面台に置いてあったカミソリを腕に押し付けて引く、血が流れ出るし痛い、これは夢じゃない。
悪夢ならよかったのに、流れる血でパニックになった思考が少しづつマシになってくる。
そうだ、俺は蝶とリンクしてて……制御出来なくなったんだ。
シアンとジーグはあれを見てしまったんだ、俺の事どう思うだろう、1人で逃げ出した腰抜けだと思うんだろうか、それとも潜在能力の事を異様だと思うんだろうか。
まだ出会って数日なのに、こんなにもそう思われたら辛いと感じてしまうのはなんなんだ、
俺の自分で決めたルールを破った末路がこれなんだな・・・。
「パピヨンッ」
ぎゅっと腕を握られて、ビリッとした痛みで現実に引き戻される、1番会いたくない人が隣で肩を抱いてくれてる。
シアンの声は珍しく焦っていて、怖くて顔は見れない、俯くしか出来ない。
「シアン…」
「ただいま、パピヨン。沢山話したい事があるんだが、今はこの問題を片付けよう」
「やめて・・・俺に優しくしないで、放り出してよ、お願いだよぉ……っ」
縋るようにシアンにお願いする、顔を上げると、そこに居たのはいつもと同じ優しい顔のシアンで、また涙が出てくる。
「放り出したりしない、ただ今はパピヨンに優しくはするけど嫌がる事もするよ、嫌がっても許さないから、パピヨンが私達に何か後ろめたい事があるなら罰だと思って受けなさい、無かったら暴れてもいいから」
「ふぇっ…んんっ」
シアンに抱き着くと、よしよしと撫でられるけど、いつの間にか入ってきたのか、ミルキー達がバタバタしていた。
上の空の感覚でぼんやりして目を開けるのが億劫になってきた。
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