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第14話
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「あいつは財布もスマホも何も持たずに家を出て行ったのにまだ見つかんねぇ・・・!」
白雪が出て行ってからもう1週間が経とうとしていた。
ふと、1週間前に男の子が刺されたという現場が目に入った。
「そういや、まだ犯人捕まってないらしいな・・・。」
「まさか、朔夜がストーカーを刺殺したとかないよな・・・?」
いや、そんなことする奴じゃねぇな・・・。
そう思い考えをやめた。
白雪は今でもストーカーから身を隠す生活をしているのかと思うと胸が痛んだ。
あれから白雪のスマホにストーカーからの連絡が一度もいていないことがどうしても不安だった。
「のたれ死んでたらマジで殺す。」
そういいながら一ノ瀬が捜していると昔、白雪と付き合っていた男が歩いていた。
「・・・・あいつ・・・。」
白雪が付き合ってた男。
だけどあいつとはすぐに別れてたな・・・。
そうしてそんなに早くに別れたのか面白半分で聞いたことがあった。
その時、白雪は困ったように笑って
『いつも彼に見張られてて気が休まらなかったんだ。』
そういっていた。
たったそれだけの理由で人を疑うのは良くないとわかっているがなぜかその疑いがどうしても頭から離れなかった。
あいつが、ストーカーなのではないかと。
もし本当にそうだったとしたら危険ではないか?
相手は何を隠し持っているかわからない。
だが、白雪の居場所のヒントになればと警戒しながら声を掛けた。
声を掛けた男はすごく不思議そうな顔をしていたが急に何かを思い出したように一ノ瀬の顔を見て笑い出した。
男のおかしい様子に一ノ瀬は後ずさりそうになるのを何とかこらえて男に話しかけた。
「ねぇ、聞きたいことがあるんだけど・・・。」
一ノ瀬がそういうと男は楽しそうに笑った。
「僕に猫被んなくてもいいよ?君の本性知ってるし!」
そういいながらいまだに笑い続ける男。
「・・・そうか、なら話が早い。白雪の居場所を知らないか?」
一ノ瀬が警戒しながら聞くと男は自分の話をし始めた。
「僕さぁ、愛する人を自分の手にかけることが出来たんだぁ!」
そう嬉しそうに話し出す男に一ノ瀬の頭には嫌な警告音が鳴り響いた。
この男の言葉を聞くなと。
「僕は彼の最後を手に入れることが出来た!君も良かったね!自分のおもちゃが無くなったのは残念かもしれないけど、君に付きまとうやつもいなくなった!前からうっとおしかったんでしょ?白雪のこと」
頭を思いきり鈍器で殴られたようなそんな衝撃を受けたのかと思うぐらい男の言葉は衝撃的だった。
もしかしなくてもあの血だまりは白雪から溢れ出したもの?
白雪が死んだ?
現実が受け入れられなかった。
いや、こいつが嘘を言っているのかもしれない。
実は白雪はこいつの家に監禁されているのではないか?
とにかく、俺だけではどうすることもできない。
そう思い一ノ瀬は未だに嬉しそうに笑い続けている男を取り押さえて警察へと連れて行った。
その間にも男は抵抗もせずに
「あぁ、白雪の他にも殺しとけばよかったかなぁ・・・人を一人殺したぐらいじゃ白雪のもとに行けないなぁ・・・。」
「あの時の白雪、綺麗だったなぁ。段々と血の気が引いて行って元から白かった肌がより一層白くなってさぁお人形さんみたいだったよ・・・。」
なんてふざけたことをいろいろ言っていた。
その度に何度も男を殴りたくなったがこの言葉は嘘だと自分に言い聞かせ足を止めなかった。
とにかく自分ではどうにも出来ないとすぐに判断し、警察に任せることにした。
男は連れていかれる最中ずっとあの時の白雪はー…と嬉しそうに話していた。
何度も何度も男の言葉に耳を傾かせそうになって首を振った。
そうでもしないと本当に白雪がこの男の手で殺されていると思ってしまいそうだった。
やっと警察署に着き、事情を話しと警察官たちはばたばたと忙しそうに走り回りだした。
一ノ瀬も事情聴取を受け、もう帰っていいとのことだったので署を出ようとしているところに年配の刑事が声を掛けてきた。
「君は、白雪朔夜くんの知り合いかい?」
その言葉にこの刑事は朔夜の何かを知っているとわかり首を縦に振った。
それを見た刑事は言うか迷っているのか眉を寄せていた。
「・・・朔夜・・・生きてますよね・・・?」
あの男の言葉を信じているわけではないがもしかしたらという嫌な想像が何度頭をよぎって気が狂いそうだった。
やっと言った言葉が震えているのが分かった。
刑事は決心したように顔をあげると教えてくれた。
白雪は何度も何度もナイフで刺されたことにより出血多量で危険な状態だったと。
病院について何とか一命は取り留めたが意識が戻らないと。
刑事からの言葉はとても衝撃だったが、白雪が死んでいないことがわかるだけで今までの緊張が解け崩れ落ちそうだった。
「ここで休んでる暇はない。」
そう、とにかく白雪に会いに行こう。
一ノ瀬は走り出したのだった。
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