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第16話
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初めの頃はそんなに気に留めてなかった。
どうせすぐに戻ってくるだろう。
そう思っていたのに白雪が姿を現す前に白雪の友達が一ノ瀬の元へやってきた。
封筒をもって。
「その封筒の中身を見たとき鈍器のような硬いもので頭を殴られたような衝撃を受けた。1か月もの間、ストーカーから一人で逃げてると思うと不安で仕方がなかった。」
どうして自分がそんなこと思うのか不思議だったが気づいた時には走り出していた。
「お前が行きそうなところ探し回ったのにどこにもいねぇし、もしかすると誰かに匿ってもらってるんじゃ、そんな可能性を考えたがお前の性格上そんなそいつを巻き込むとか思って頼らないだろうって思った。」
だから、昔の隠れ家にも行ったんだ。
あの場所は俺と朔夜しか知らない場所だから。
昔から何かあるとすぐにそこに行っていた朔夜のことを俺は知っていた。
テストでいい点が取れなかったとき。
友達と喧嘩したとき。
苗字や顔のせいでいじめられたとき。
「だからもしかしてと思ってそこに向かった。だけどそこにあったのは朔夜、お前じゃなくて昔から大切にしていたお守りが落ちていた。」
この場所で何かあったのかと思って心臓が止まるかと思った。
それと同時にもっと早く来ていれば白雪に会えたのにと後悔した。
「今更後悔したってしょうがないのに」
一ノ瀬は白雪の体温を確認するために何度も白雪の手を握っては離してと繰り返した。
「今日も街を捜そうと思っていつまでも既読にならないメッセージを見た瞬間に既読が付いた。初めの頃は夢か何かかと思った。だけど『生きてるよ』ってメッセージが来てあぁ、現実なんだって思った。」
やっと、会える。そう思った。
「久しぶりに聞いたお前の声。ほっとした。逃げているのは電話からでもわかったから急いで向かった。」
顔色が悪い白雪を見たときは胸が締め付けられる思いでいっぱいだったが生きていたことにほっとした。
「そこからは、あれだ・・・本当に悪かった・・・。」
意識がない白雪に謝っても意味ないことも、ただの自己満足で許された気持ちになりたいだけだということもわかっているが謝らずにはいられなかった。
「本当に無事でよかった。」
一ノ瀬は優しく白雪の頬を撫でた。
「今度こそ絶対にお前のこと守るから。いや、守らせてくれ。今までのことがなかったことになるわけではないことわかってるから・・・。」
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