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第17話
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それから毎日一ノ瀬は白雪に会いに来た。
いつ目が覚めるかわからないが目が覚める瞬間に自分がいたい。
そして、今日も白雪に話しかける。
「朔夜、聞いてくれよ。俺がつるんでたやつが『最近、女の子と遊ぶのやめたんか?もしかして本命とかできた感じ?』って聞いてきたから肯定したんだ。そしたらあいつらなかなか信じなくてさぁ」
酷いだろ?そういいながら一ノ瀬は白雪の手を握った。
一ノ瀬はお見舞いに来ると必ず白雪の手を握る。
もう、どこにも行かないように。
「なぁ、朔夜・・・早く目を覚まして俺の名前、呼べよ。」
そういい眠気に誘われて一ノ瀬は目を閉じた。
ぴくっと自分が握っていた手が動いた気がした。
一ノ瀬はまさかと思い思いきり顔をあげるとそこには白雪がゆっくりと目を開ける瞬間だった。
「朔夜!」
一ノ瀬は嬉しさのあまりに白雪に抱き着いた。
すると白雪から衝撃的な言葉が発された。
「あの・・・どちら様ですか・・・?」
その言葉に一ノ瀬は固まった。
「朔夜、俺だよ。彰人。」
信じられないような表情で白雪を見たが本気で分からないのだろう白雪は首を傾げた。
一ノ瀬はすぐに知らせに行った。
医師が言うには『極度のストレス』『自分の心を守るために忘れることを選んだのだろう』とのことだった。
一ノ瀬はその言葉に何も返すことが出来なかった。
記憶を失った白雪は本当に別人の様だった。
「彰人さんって俺の幼馴染だったんですね!」
「彰人さん、こんなきれいな花束貰ってもいいんですか!?」
「彰人さん!」
一ノ瀬がお見舞いに行くと笑顔で迎え入れてくれる白雪。
別にそれが嫌なわけではない。
嫌なわけではないが、俺の好きだった朔夜はもういないのだと改めて突き付けられているような気分だった。
とにかくこうなってしまったのは自分がもっと早く見つけられなかったせいだと、一ノ瀬は退院後は自分で白雪の面倒を見ることに決めた。
ストーカーは務所から出てくることはないだろうが病院より自分の家の方が安全な気がした。
それにストーカーが一人とは限らない。そう思っていたというのもある。
白雪が目を覚ました後に一ノ瀬はストーカーに会いに行った。
『もし、本当に白雪が生きてたら別の奴が殺してくれる。自分が手を掛けれなかったことは残念だけどね。』
その言葉がどうしても引っかかっていた。
「あいつの妄想かもしれないが警戒はしよう」
もう二度と朔夜を失わないために。
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