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第29話
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「まさか、この3人で水族館に来るとは思わなかった…」
白雪の言葉に卯月は笑った。
「昔の僕だったら考えられなかったよ。」
「俺は夢なんじゃねーかと思ってる。」
一ノ瀬の言葉に白雪は困ったように笑った。
はっきりいって今までのこともあり、それプラス自分が一ノ瀬のことを拒絶したことも相まって一ノ瀬にどう接すればいいか分からないでいた。
「そうだ!僕、喉乾いたから飲み物買ってくるね!2人は机取っといて!」
それだけ言うと卯月は走って言ってしまった。
「ちょっ!柊ちゃん!」
「おい!卯月!」
残された2人は気まずさのあまりに黙り込んでしまった。
「…とにかく机取るか…。」
「そうだね。」
2人の視線は中々合わなかった。
どれくらい時間がたっただろうか。
言葉を先に発したのは一ノ瀬だった。
「朔夜、今更こんなこと言われたって困るだろうけど、今まで悪かった…謝って許されることじゃねーことも分かってる。だけど、ごめん。」
一ノ瀬の言葉に白雪は顔を上げた。
「やっと目が合った。」
一ノ瀬がほっとした様な表情をして白雪は泣きそうな表情をした。
「そんなのずるいよ…」
「ごめん。」
「朔夜が、近づかないで欲しいなら俺はもう朔夜には近づかない。」
一ノ瀬は俯いた。
「……許すよ。今までのこと。」
白雪の言葉に一ノ瀬は勢い良く顔を上げた。
「だって、俺が勝手に好きになって傷ついただけなんだから、本当は許すも許さないもないんだ。」
「好きだった時は苦しいことも沢山あったけどそれ以上に楽しくて心が満たされてた。だからありがとう。これからも一緒にいてくれる?」
白雪の言葉に一ノ瀬は頷いたのだった。
「おまたせー」
卯月がタイミングを見たかのようにやってきた。
「…仲直り出来たかな?」
卯月の言葉に2人は頷いたのだった。
「じゃあ、仲直り出来たなら楽しもう!」
卯月は2人の背中を押したのだった。
「柊ちゃん、そういえばジュースは?」
「あっ…」
「心配そうに見てたのバレてるからな」
「えっ…」
「柊ちゃん、ありがとう。」
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