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さんじゅういち
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「え、正解?本当に?」
ついぽろっと言ってしまっただけなのに、、当たってしまった。
「そ、じゃあ問題。なんで俺は類の教室を見ていたでしょう」
「ま、またクイズですかぁ〜?」
しかも今度は理由を答えよってさっきより難易度高めだし。
教室を見る理由…?
普通に考えたら、、好きな人がいる…とか。
でもやだ。同じクラスにいるなんて考えたくない…
もう絶対その人と上手く話せなくなる。この人が会長の心を奪ったんだって嫉妬でおかしくなる…。
…これは、最後に言おう。
「…先生を見てた」
「不正解」
「きょ、教室のもっと奥の景色を見てた」
「全然違う」
「…」
もう、無い。
言うしかないのか…
嫌だな。でも、どうせいつかは諦めないといけない恋。
ここで区切りを付けないといけないのかもしれない
「好きな人を、見てた」
「はい、正解」
あぁやっぱり…
一瞬で心は暗闇のどん底まで突き落とされて、誰なんだよって思う気持ちと知りたくないって気持ちが交差する。
俺いつからこんな我儘になったんだよ、
「じゃあ最後の問題、その人は誰でしょう」
「……ッ」
きっと、会長は俺が会長を好きだなんて知らないから、だからこういう質問ができる。
でもそれは良いことで、好きだなんて知られたら生徒会来れなくなるし、軽蔑なんてされたら……考えただけで限界。
だから、俺はなんでもない様にクラスの皆の名前を言って正解って言われた時にそうなんですね、って冷静に返さなきゃいけない。わかってる、わかってるんだよ。
それなのに口はへばりついたかのように開かない。
ダメだ、不審がられる、普通にしないと、傷付くなんて有り得ないんだ。ただ名前を言っていくだけ、それだけの簡単なクイズだろ…?
「ぁ…西川くんとか」
「違う」
声が震えたけど関係ない、違うってその言葉に安心する。
「東井く」
「違う」
ま、まだ言ってる最中なのに…
でもそれだけ可能性がないってことだよ。ほら、早く次の人言わないと。普通にしないと…
「…これじゃいつまで経っても正解なんて出てきそうにないしヒント」
「え、、?あ、はい…」
ヒントなんて、ありがた迷惑…
余計具体的に人物像が見えるのに。
もうやだ…
「ヒントは俺より背がちっちゃくて、声が可愛い。そんでモテる、その癖して意外とネガティブ思考で俺に好かれてるとか考えもしない馬鹿。普段は冷たいけどイヤイヤ言いながら俺の事手伝ってくれる、そういう所が好きなんだけどな。そんで……」
「ちょ、ちょ…っと待ってください、会長ってそんな1年と関わりありましたっけ…?」
初めの頃は聞きたくもなかったけど、よくよく聞いてみたらいかにも仲良さげなこと言ってるし…
でも会長が特定の1年と話してるとこなんて見た事ない、それこそ同じクラスにそんな奴がいるとは思えない。
「あぁ、1人な。どっからどう見ても俺に惚れましたみたいな顔で見てくるくせに俺に好かれてるとは考えないおバカさんが1人いるんだよ。さぁ、誰でしょう」
だ、誰?
会長が1年の仲いいなら俺の耳にも噂が広まるはず
俺のクラスで会長と話す人なんて、それこそ俺し…
……………ぇ?
いやいやまさか!あるわけないでしょそんなこと。
…そうだよ、冷静に考えてみれば、俺この前会長の目の前で好きな人に振られたって大泣きしてんだよ?そんな奴のこと好きになるわけないし…ね?うん、そうだよ。
妄想甚だしいな…
で、でも誰か会長と親しい人なんて…
そんなことあるわけないけどでも…
「はぁ…類、今お前が思ってること口にしてみな」
「え、何言って…無理ですよだってそんなこと…」
そう、あるわけないんだって、!!
「良いから!…言ってみろ」
だって、だって…!!
信じられない気持ちと、もしかしたらで埋め尽くされる思考。
分からない、分からないけど、でもここで本当のことを言ったらどうなるのか…知りたかった。
「か、いちょうの好きな人…は、」
…これでもし軽蔑されたらどうしよう、何その自意識過剰って馬鹿にされたらどうしよう、気持ち悪いって言われたら……
ぐるぐるぐるぐる、と目眩がするようだった。
言ったらどうなるのか、知りたいのに怖くて逃げ出したくなる。
「落ち着け、ゆっくりでいいから」
パニックで足を扉に向けようとしたけど、会長の腕が頭に伸びてぽんぽんと優しく撫でるから。
逃げる気もなくなって、どこかふわふわした気持ちのまま言った。
「俺、ですか……?」
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