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部室にはもう殆どの部員が戻ってきていて、どうやら俺が最後のようだ。
俺が戻ったのを確認すると、部長が適当に締めの言葉を言ってお開きになった。
座ったまま、なんとなく撮った写真を見る。
衣装作りの様子や、当日教室の外に施される装飾品のイメージ図。
それと、打って変わって別人のように友人とポスターを和気藹々と描いている歩晴先輩の横でも数枚撮った。
「み、宮下くん…!」
前から聞こえた声に反応し、顔を上げる。
さっきの彼女だ。
バッグからスマホを取り出し、困った様子で話し出す。
「あのさ、もし良かったら…LINE、交換してくれない……?」
このときの俺はポカンとしていたに違いない。
「…別に良いけど…使うことある?笑」
つい本音が出てしまったが、すぐにそれを打ち消すためにスマホを取り出す。
QRコードを表示させた状態で、彼女の方に向ける。
「え、本当に良いの……?!」
自分で頼んでおきながら彼女は目を丸くし、すぐさまスマホを構える。
済むと画面をタップし、満足げに微笑んだ。
「宮下くんありがとう!
じゃあ、今日はお疲れ様、またね!」
小さく手を振りながら彼女は去った。
間もなく通知が届き、トーク欄をタップする。
ゆるいタッチで描かれたクマのイラストとその横の吹き出しに『ありがとう』と書かれているスタンプが送られてきた。
送り主の名前は『山部逢衣』。
彼女の名前がようやく分かった。
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