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はぁ…
…はぁ……
……っ………
誰もいない階段に僕の鼻を啜る音が響く。
今日は部活がある日だから、本当は美術室に行かないといけないのに、涙が止まらなくて美術室に入れない。
亜海くんのことを拒絶してしまった。
ほんと、馬鹿だよね笑
亜海くん、僕も分かってるんだよ、こんなの間違ってるって。
でも道具として使われていても、僕はそれが嬉しいの、存在意義になるんだよ。
僕は昔から見た目が女の子っぽくて、色目を使われることが多かった。
ある日からそれを全て受け入れるようにした。
そうしたら心にぽっかりと空いていた穴が全て塞がったような気がして、すごく心地良かった。
亜海くん、君は間違ってるよ。
欲を満たしたいのは佳じゃなくて、僕の方なの。
君は優しい。
もう僕に構わないで。
「……羚…?どうしたの、具合悪いの?」
目覚まし時計が鳴っても起きて来ない僕を心配して、お母さんが僕の部屋に来てくれた。
「お母さん、今日は休みたい」
僕がこんなことを言うのは珍しいので、お母さんも驚いたようで、少し間があってから
「…分かった、学校にはお母さんが連絡しておくね。
お母さん仕事行っちゃうけど、羚、1人で大丈夫?」
と、一層心配の色を強めて言う。
「うん、大丈夫だよ」
ごめんね、お母さん。
昨日は結局部活には行けなくて、帰ってから歩晴先輩に謝った。
亜海くんにも謝ろうと思ったけど、謝ったらきっとまた亜海くんは僕に優しくしてくれる。
だからやめた。
今日は佳とラブホで会う。
昨日帰った後に、「もう学校でやるのは危ないから」って言われて、昨日できなかった分を今日またすることになった。
午前中は何も考えず、ただぼーっとベッドの中で過ごして、佳から「学校終わった」と連絡が来たら外に出る準備をした。
佳とするとき、たまに使うラブホに向かう。
学校はサボったのに、ラブホには行くなんて、僕最悪だね。
ラブホの前まで来ると、全く予想していなかった光景があった。
「…なんで」
戸惑いを隠しきれずに呟いた僕を見て、佳が言う。
「連れていかなかったら俺たちのこと校内中にバラすって言うから…」
佳のとなりには大響くんがいた。
大響くんは何も言わずにホテルの中へ入って行くから、僕達も慌ててついて行く。
どうして大響くんが…?
大響くんは亜海くんと仲良くする人全員に敵意識を持っているはずなのに。
大響くんはいつも亜海くんを目で追ってる。
亜海くん自身は気づいていないようだけど、亜海くんに近づこうとする人間に向けた大響くんの威嚇はすごく強力。
だから混乱した。
わざわざ僕の身体で欲を満たそうとするなんて、って。
でもそんなわけなかった。
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