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青峰くんは静かに聞いてくれた。
笑いもせず
僕の話を聞いてくれた。
「そりゃーテツおまえ、恋だろ。」
「…青峰くんの口からそんな単語出てくるとは。」
やっぱり青峰くんは気づいてたみたいで。
むしろお前が気づかなすぎてイライラしてたと言われた。
「黄瀬くんは、僕をからかってただけなんでしょうか。」
ポツリと一番気になってたことがこぼれ出す。
そう、だって彼が僕を好きになるなんて
普通に考えればありえないではないか。
自嘲気味に笑うと
青峰くんが本日2度目のため息をついた。
「テメェで確かめてみろ、テツ。」
まっすぐ強い口調で言ってくるので
僕は更に戸惑った。だけど、
「今のままで、いいです。このまま、何もなかったように接していけたら…」
部活は一緒だ。でも常に青峰くんといればいい。
最近はずっとそうしてきた。
そうだ、なかったことにすればいいんだ。
黄瀬くんが言ってたことも、
この気持ちも。
「黄瀬の気持ちを台無しにすんなっつってんだよ。」
黄瀬くんの気持ち…?
「君が何を言ってるのかわかりません。台無しにって…」
「黄瀬はテツに気持ち伝えてきたんだろうが。
お前あいつに気持ち伝えたことあんのかよ。」
その言葉にはっとした。
だってそれは、
とても怖いこと。
黄瀬くんの気持ちすら本気かもわからないと
疑っている僕が、自分の気持ちを伝えるなど。
「伝えなきゃ、伝わらねーことだらけだろ。少しは勇気持って自分で前に進め。俺から言えるのはそれだけだぜ。」
青峰くんは優しく笑った。
あぁ僕はいつもこの笑顔に救われている。
伝える勇気、
ダメでもいい。
もしそれが出来たなら
「今のこのモヤモヤを払うことは、出来ますか?」
「あたりめぇだっつの。早く行ってこい。」
背中を押してくれた僕の光は
とても暖かかった。
ありがとう、青峰くん。
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