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「いきなり何言うんだよ。吹きそうになったじゃねえか」
「いきなりじゃねえよ。元はお前が言い出したことだろ」
「そりゃまあそうだけど……」
なんだかあらためて言われると無性に恥ずかしい。
「何でもねえよ。たんなる冗談っていうか、日常会話だろ」
空き缶をゴミ箱に捨て、仕事に戻ろうとした希は、その腕を金井につかまれた。
「日常会話でお前はオナニーのおかずの話をするのか!」
「わーわーわー!」
希は慌てて金井の口を塞いだ。
「ごめんなさい! 俺が悪かったです!」
「どうなんだ、さっきのは柏木の話なのか」
重ねるように訊かれて、希は降参した。
「そうだよ! 俺の話だよ! だったら何か文句あるかよ!」
真っ赤な顔で認めた希を、金井は何を考えているかわからない目で見ている。
「……やっぱ引くか?」
奎吾とキスをした夜から、希は変なのだ。幸いなことに、奎吾はあの夜希が彼の手でイったことに気がつかなかった。ひょっとしたらキスをしたこと自体酔った勢いで、希の記憶からないものだと勘違いしているかもしれない。
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