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五月蝿い
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『まってよ!!ゆうひ!』
自分のことを呼ぶ声を無視して、無我夢中で走る。
『 ゆうひ!!』
背後で自分の名前を叫び続ける声が聞こえる。
うるさい、うるさい!!
お前なんてしらない!!だいきらいだ!!
『 まってよ!!なんでそんなこと言うの!?』
うるさい!!!
だって麗が…!!
『 ゆうーー・・・』
ドシャッ
鈍い音が聞こえ、途端に追いかけてくる足音と声が、
聞こえなくなった。
『……え? 』
振り返ると先程まで自分を追いかけてきていた麗が、血まみれで倒れていて、
その数メートル先には麗の飛び散った血で赤色に染まった白の普通車が止まっていた。
変形した形で。
『 れい…?』
真っ白になった頭で、傍に駆け寄って、座り込んだ。
『れい!!れい!! 』
体を揺すり名前を叫ぶと、
ぴくっと口元が動いた。
『 ゆ……ひ…』
体を持ち上げ麗の顔に触れる。
『れいッ…!なに!? 』
言葉の節々に、ヒューヒューと今にも途切れてしまいそうな呼吸音が聞こえる。
『 ゆう……ひ…』
『あっ、、!! ごめっ、、!れいっ!』
自分のせいでという気持ちとどうすればいいんだという気持ちがぐちゃぐちゃになりパニックを起こし、涙がボロボロとあふれる。
『 ゆ…る…』
『もうしゃべんないで!大人のひと呼んでくるからぁっ!』
わけも分からず泣きじゃくりながらもう喋らないで、と麗に訴えかける。
『ゆ…る………ない 』
『 え…』
『許さない』
「うわあああああああああ!!!!」
飛び起きると、枕元から「ピリリリリ」と、アラーム音が聞こえた。
「はぁっ、はぁ…っ」
混乱した頭であたりを見渡す。見慣れた自分の部屋だった。窓からは日が差し、とても眩しい。
…朝か。
「はーーー····」
胸に手を当て呼吸を整える。
また…あの夢か。
何回も、何回もあの時の夢を見る。
最近は全然見ないと思っていたのに。
「最悪だ……」
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