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恋の成就は突然に、や。
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俺は、日が暮れるまでキャッチボールをしてらあそぶことにした。晃は、キャッチボールをするのは初めてなのか、球を上手く取れない。そんな晃をちょっと可愛いと思いつつ、俺は詳しく指導した。手取り足取り、こうやって取るんやで、と。
晃は学習能力が高いのか、すぐに呑み込んで要領を得た。俺は、教えるのが楽しくなってしまった。
自慢やあらへんけど、俺は五種類の変化球が投げれる。それを全部教えたら、晃は二種類、すぐに覚えた。
「晃くん、すごいなぁ。俺は二種類覚えるの、二年はかかったで。」
晃は、少し首を傾げながら、
「そうかな。」と言った。
それから、上目遣いになって言葉を続けた。
「呂将は、おれが覚えると嬉しい?」
と聞いてきたから、
「嬉しいよ。」と答えた。
「上手くやろうとせぇへんでもええねん、晃くんが楽しんでくれたら、俺は嬉しい。」
頭を撫でると、晃は一瞬打たれると思ったのか縮こまったが、撫で続けていると徐々に慣れてきて、最後は、初めて笑顔を見せてくれた。
「呂将、もっといろんなこと、呂将としたい。」
そう言ってくれた晃の表情は明るくて、俺は報われたと感じた。
「でも、もうすぐ潤がくるよ。ぼく、いられないみたい。」と晃は言った。
「え?潤さんが?」
晃ががくりと頭を垂れて、起き上がった時には潤さんが出てきていた。潤さんは、恥ずかしそうにミットを持っていない方の手で頭を掻いた。
「見てた。ずっと、晃の中から。」
潤さんが言う。
「じゃあ、俺が本気で潤さんを好きなのも、わかってくれはりましたか?」と、俺は聞く。
「うん。わかった。でも俺は、というか俺たちは、呂将に迷惑を掛けるかも知れない。零はあんなで、いつも男を引っ掛けて来るし、晃は思い切り子供だ。俺もそんなにメンタルが強くない。」
それでもいいなら、と、潤さんは言った。
「付き合って下さい。できれば、まじめに。」
俺は答えた。
「当たり前ですよ。俺は潤さんが好きです。せやから、付き合いましょう。」
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