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事の発端
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僕は、吉沢凪。
ごく一般的な高校生…とは言い難い。
なぜなら…
「あっあの!吉沢さん!俺、ずっと吉沢さんのこと好きで…付き合ってくださいっ!!」
_これだ。
僕の容姿は男から好かれる。
確かに目はくりくりしてるし、背だって守りたくなるんだろう。
まつ毛はその辺の女子より長いし、少しぶかぶかのカーディガンは萌え袖効果を撒き散らしている。
だけど……俺は、ホモなんて嫌いだ。
「…ごめん、てかどこかで話したことあったっけ?じゃ僕急いでるから」
こういうのは相手の気持ちを折るに限る。
本当は覚えてる。1年前の委員会で一緒だった人。だけど、そんなのはもう関係ない。
僕に告白してきた時点で、君は僕の嫌いな部類なんだよ。
「…あ、凪。用事終わったか?」
「うん終わったから帰ろ」
名前も知らない人のせいでせっかく真斗と一緒にいる時間が減った…
真斗は僕の親友。中学の頃、どうやったって男に告白されて嫌気がさしてもうそれなら男友達なんていらないってぼっちで居た時に、声をかけてくれた。
どうせこいつも僕に好きとか何とか言うんだ、って最初は適当にあしらってたけど真斗はそんな気配を全く感じさせないで、根気強く半年間も僕に声をかけてくれた。
もうこれは僕の負けだと観念して真斗と友達になってからも真斗はそういう視線を一切向けてこない。だから心地いい。
そんな真斗との時間を邪魔する告白なんて不愉快以外の何でもない。
「それにしてもまーた告白?おモテになりますこと」
「馬鹿にしてるでしょ」
「うん」
「このぉお!!」
「いて!いてててて!ごめんって許して?」
「はぁ…まぁいいよ別に」
「凪やっさしー!」
こんな風にふざけ合えるこの関係が大好きで、手離したくない。
真斗が彼女を作ってしまったら僕はまたぼっちに返り咲き…友達の居る暖かさに慣れてしまった今、そんなのは耐えられない。
だから、誰にも渡さない。
真斗は誰にも。
「あ、凪、今日家来る?うちの母さんも凪に会いたいって」
「行く!」
「じゃ、着替え用意してきて、下で待ってる」
「おっけ、了解。だけどわざわざ待ってなくていいよ?」
「それはダメ、もし凪が誘拐にでもあったら俺が母さんに殺される」
「あははっ!!確かに!まみさん僕のこと大好きだもんね〜」
「ホントだよ、実の息子より凪だからな」
「え〜嬉しい、まみさん大好きって伝えなきゃ」
「おうおうそうしてくれ、喜ぶわ」
そんな話をしてる間にもう家。
「じゃ取ってくるね〜」
少し浮き足立った足取りで鍵を開け、部屋に直行。
親なんて顔も知らない。ここにはおばあちゃんと2人暮らし。だけど最近亡くなったから実質一人暮らし。お金はどこからか振り込まれてるから毎日生きていける。きっと顔も知らない親の養育費かなんか。
まぁそんな話はどうだっていい。
着替えをとって、歯ブラシ持って、モバイルバッテリー持ったら完成。
「よし、真斗〜待った?」
「全然いつも通り。じゃ家行くか」
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