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新人物
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_徐々に意識が戻るのがわかった。だけどまだ目を閉じていたくて、ぼんやりと風が木に当たる音とか自分の寝返りで出る布団の音なんかを聞いていた時…
ガラガラっとドアが開く音がした。
…誰だろ。先生、かな?
勝手に使わせてもらってます、と心の中で謝って意識ははっきりしてきたものの目を閉じたままで布団にくるまっていたら
体を横に向けている僕の目の前にその人が立っている気配がした。
何だか居心地が悪くて寝返りを打って反対方向に向いたら、突然手をギュッと握りしめてきた。
「…ッ!?!!」
びっっくりして目を開けてしまったけど、反対を向いていたからこの謎の人にはバレていないようだった。
真斗は、手を握ってきたりしない…
クラスの人とはそこまで仲良くないし…
誰だ?
頭の中で犯人を探す探偵のように思考を張り巡らせているとその人はそっとベッドに座ってきて、ベッドがギシギシと音を立てる。
え、なに、ほんとに何!?
体が無意識に強ばってしまうのはしょうがない。
両手で布団を握りしめて居たらスっと髪を耳にかけられて…気配で顔のすぐ近くに来てることがわかった。
そしたら…
「起きてるんでしょ?」ボソ
_心臓がバクバクと音を立てて拍動する。
…え、ていうか僕の記憶が正しければこの声は、今年学校に赴任してきた保健室の…
「…鳴海(ナルミ)先生ですよね、?」
「お、孤高の吉沢くんに知ってもらえてるなんて嬉しいなぁ」
ゆっくり顔を見合わせ、優しい笑顔とは裏腹にどこか狂気を帯びていてゾクッとする。
_鳴海先生は、赴任当時から生徒に人気だった。
そのルックスに加え大人の魅力、そして目の下にある涙ボクロにやられる人が多いそう。
僕はそうなんだ、くらいにしか思ってなかったけど…
この人も、アイツらと同じ匂いがする。
「えっと、手、離してくれませんか?」
先生に強く言えるわけもないから、優しくお願いする。
「あぁごめんね?起き上がれる?熱測ろっか」
「はい…」
…んー?さっきは確かにアイツらと同じ感じがしたんだけど…でも全然良い先生だよなぁ。
体温計で熱を測るその姿はどこからどう見ても"優しい保健室の先生"で、あれは気のせいだったのかもしれないと思い直した。
「熱は…無さそうだね。今日はどうしたの?寝不足?」
「まぁ、そんな感じです」
熱無かったのか…これは教室に帰らないといけないやつかなー。
「熱なかったんですね、ベッドありがとうございます。教室帰りますね」
流石に病人じゃないのにベッド使うのは、と起き上がろうとした時
「いやいやここまで来たってことは、それだけ身体辛いんでしょ?熱がないからって身体が平気なわけじゃないんだから…まだ休んでて」
元々タレ目の目が笑うことでより柔らかな雰囲気を醸し出していて、じゃあお言葉に甘えて、ってそのままベッドへ戻る。
「あ、あの結城真斗って人が来たら起こしてくれますか?」
「分かったよ、おやすみ」
「はい、おやすみなさい…」
こんな生徒を考えてくれている先生を少しでも疑ってしまった自分が恥ずかしい…。
優しい笑顔を薄目に見ながらまた眠りに落ちていく。
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