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願い事2
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「お昼、何食べよっかな」
一旦さっきのことは忘れて、とりあえずお腹すいたし何か食べ………
「って何もな…」
そうだ、アイツのおかげで今まで食べ物あったけど本来はなんも買ってなかったんだよな…
「………」
前までなら、何も食べなくたって良かったから買わなかったのに。
もう食べるのが普通になっちゃったな。
あぁ、なんか全部毒されてる。
生活も、身体も、心も。
あいつに出会ってから全て変わった。
もうやだな、苦しいの。
あいつに会う度、苦しい。
最初、大っ嫌いで、それなのになんかどんどん気になってって、気付けば惹かれてて、止めらんなくて、だけどやっぱり嫌いで、嫌い…で……
「嫌い、だよ。あんなやつ」
そう言い聞かせないと、また昨日みたいになる気がして必死に心を騙し通す。
「嫌い…嫌い…」
ソファに蹲って、胸の辺りの服をギュッと掴む。
ズキズキと痛む胸を何とか押さえつけようとしていたらお腹がぐぅーと鳴って、痛みに目を逸らしてコンビニへと出かける。
冷凍食品でも買っとけばいいでしょ。
とりあえず目に付いた冷凍食品を片っ端から籠に入れてって直ぐにレジを通して、帰路に着く。
予想以上に重い鞄を持ちながら、あの日のあいつもこんなの運んでたんだなって少し寂しくなるけど、気のせいだと頭をブンブン振ってそのまま歩き、リビングで一息ついたら、またお腹が鳴ったから買ってきたご飯を食べた。
味は濃くて、舌がちょっとピリついた。
ボーッとテレビを見て、真斗に連絡を入れようかと思ったけどこんな時間に連絡したら休んだのかって言われそうだし、やっぱりまだ怖いしで結局辞めた。
それでも暇で、どうせなら当たって砕けてみようとさっき登録したばっかの親らしい人へ、メッセージを送ってみることにした。
「は、じめまして…えっとなんて書こ…あなたの息子の吉沢凪です、とか?いやでも親って決まったわけじゃないしな、うーん…初めまして凪です覚えてますか?…いやこれだとなんか催促してるみたいだ…」
色々悩んだ末、
【初めまして、吉沢凪と言います。私の家にそちら様の御電話番号があった為送らせていただきました。勘違いであれば申し訳ないのですが、吉沢洋二、美波様は私の両親でお間違えないでしょうか?】
なんて硬っ苦しい文章になってしまった。
だけどもし血が繋がってるとはいえ1度もあったことないんだからこうなるのはしょうがないことだと思う。
覚悟を決めて送信ボタンを押し、そわそわしながら画面をチラチラ横目で見てしまう。
まぁ当然、こんな時間仕事中だろうし既読なんてそりゃまぁつかないわけで。
だけど…
「…やっぱり辞めよう」
何分もかけて、考え抜いた文章だけど、今更送るのもなんか違う気がして、送信取り消しボタンを押す。
向こうだって今更連絡してこられても迷惑だ。
僕だって別に17にもなって親の愛だなんてそんな幻を求めてるわけじゃない。
ただ…僕だって愛されてる証拠ぐらい欲しかった…なんて言い訳にしかならないか。
きっと会うことは無いだろうけど、きっと僕たちの人生が交差することなんてないんだろうけど、それでも僕の親なんだから、幸せに生きていて欲しい…なんて綺麗事を願っておくよ。
顔も知らないお父さんとお母さんへ。
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