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黒い影
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真斗への恋心を自覚して早、数日。
その思いは色褪せることなく、日々膨張している。
「真斗ってさどういう子がタイプなの」
「え、なに急に」
「…名前、は言えないけど聞いてって言われたから」
まぁ本当にそんなこと言われたら絶対言わないけど、僕が知りたい。
「え〜…どっちかっていうと後ろをついてくるタイプよりかは隣で一緒に笑いあえるような人…とか」
「つまり奥ゆかしい日本女子はお呼びじゃない、と」
「いやいやそう言ってるわけじゃねぇって!ただ、なんつーんだろ。後ろだと本当にいるかどうか不安になる」
「あぁ、ちょっとわかるかも」
「そう、それで隣がいいなーって」
「なるほど」
でもさ、隣って今は僕じゃない?
僕、これ以上できることなくない?
もっと、見た目のタイプとか期待してたんだけど…
あ、でもそれ聞いたら女の子のタイプ言うもんな…
ていうかそれが当たり前だもんな…
自分で考え出しといて、自分で落ち込むとか、本末転倒。
「凪はどんな人がタイプ?」
「え…あぁ、えっと……僕を捨てない人、かな」
_自分でも、こんな回答が口をついて出たことに驚いた。
思っていたより、親の件があとを引いていたみたい。
「…まぁ、そうだよな」
真斗は僕の家庭事情を知ってるから、これ以上踏み込まないでいてくれる。
前はそれが嬉しかった、だけど、今はもっと踏み込んで欲しい…なんて烏滸がましいか。
「あ、そういやうちの母さんが会いたいって言ってたぞ」
「まみさんが?じゃあもう今日行く」
「決断はっや…まぁ元気出せよ、今日の凪なんか変だからさ」
「…分かっちゃう?」
「分かっちゃうね」
「、僕、親いないじゃん」
「そうだな」
「この前偶然、親…っぽい人の連絡先見つけてさ。今まで考えないようにしてたことを無理やりこじ開けられたみたいな感じで…」
1人なんて平気だって、真斗の家にいるから平気だって、そう思って暗い家に帰っても誤魔化し続けてきた。
今更、会ったって何も話すことない。
今更、愛なんていらない。
今更、何もいらない。
でも、でも、やっぱり…
親に愛されてみたい
って思うのはダメなことかな…?
「…連絡は?」
「ううん、今更したところで向こうも迷惑だろうし、向こうにとっては捨てた子だからね。僕が連絡するような人じゃないよ」
「…俺は他人だし、想像することしか出来ないけど、でも連絡されて嫌な親なんて居ないと思うよ。それでも嫌なら"貴方たちがいないおかげでこんなにすくすくと育ちました"って嫌味言ってやったらいいんだよ」
「…ははっ!!それいいね?」
真斗がそんな冗談言うなんて珍しくて、思わず吹き出してしまった。
でも、確かにそうかも。
無理って言われたらそこで諦めたらいいし、会えるなら会って話せばいい。
話して嫌なら嫌味言えばいいし、良い印象ならどう過ごしてきたか言えばいい。
そんな簡単な事だったんじゃん。
そっか、うじうじ悩む必要なかったや。
「…ありがとう、真斗。一旦連絡してみるよ」
「おう、もし心配なら着いてってやるから」
「ありがと」
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