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捜索2
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「え、凪くんが?!」
「そうです…」
「まじか…え、それってもう警察には?」
「言ってます。それで、俺は鳴海先生が怪しいって思ってて」
「鳴海先生…ってあの保険医の?あの先生優しそうな雰囲気だったし、そんなことする奴には見えなかったけど」
「俺も…まだ半信半疑です。けど、凪と最後に会ってたのは間違いなく先生です。…っていうか今日凪が放課後残ったのも先生に頼まれたからで」
今一度思い返してみると、鳴海先生が怪しすぎてしょうがない。
なんで今日に限って作業なんか凪にやらせたんだ?
別に俺でも良かっただろうし、というかむしろあんな弱そうな凪より俺の方が力もあるし頼むには打ってつけだろ。
「うーん……正直、なんとも言えないけど、でも真斗の勘がそう言ってるならそうなんじゃないか?だって凪くんのこと1番知ってるのお前だろ?」
「…はい」
「はぁ、そんな不安気な顔すんなって!俺たちが落ち込んだって何にもなんないだろ。悲しむぐらいなら何か証拠見つけた方が効率的だしな」
「そう、ですね」
「だろぉ?…っあ!俺、これから塾なんだよ…ごめんっ!俺も俺なりに鳴海先生の情報集めてみるわ!!じゃあな!!」
「うおっ!あ、先輩!ありがとうございます!!」
「いいってことよ!!」
そう言って、先輩は焦った顔で走り去っていく。
時間取らせてしまった…
でも
「ありがとうございます」
おかげで少し余裕が出ました。
「行方は警察に任せるしかない…なら俺は俺ができることをしないと」
もう暗い中、街灯に照らされる真斗はどこか吹っ切れた顔をしていた。
「あ!帰ってきたよ!!」
家に入ると妹の声が響いて、奥から親が出てくる。
「おかえりなさい」
「…ただいま」
「少しは頭冷えたかしら?」
「もう…大丈夫」
「そう、ならもう今日は寝なさい。沙知もよ」
「えぇえ!」
「当たり前でしょう、ほーら」
「はーい」
「ほら行くぞ」
「ねぇねぇお兄」
「なんだよ」
「今日何かあったの?パパもママも深刻そうな顔してるし、聞いても答えてくんないし」
「…何もねぇよ、明日も学校だろ寝ろ」
「ぶー!!けち」
沙知には話してないのか…
そりゃそうか。沙知、凪のこと大好きだもんな。
きっと誘拐された、なんて知ったら倒れそうだ。
それから部屋を暗くして、ぼすっとベッドに寝転がる。
今頃凪はどうしてるだろうか。
犯人の顔は見たか?
手荒な真似されてないか?
無事で…いるんだろうな?
無意識に布団を握る力が入る。
「絶対助けるから無事でいろよ」
俺は明日また先生の所へ訪ねようと、心に決めて瞳を閉じた。
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