アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
夢4
-
ぐぎゅるぐぅううう
…え?なんの音かって?
お腹がなった音です。はい。
もう2日?3日?それぐらいは何も食べてないし手を付けたら敗北した気がしてなかなか手が出ない。
生きるためだろって思われるかもだけど、でもあとほんの少し我慢したら…助けが来るんじゃないかってそんな希望を捨てられなくて。
「いや、でも…生きるためだもんな…」
のろのろと壁を使って立ち上がり、覚束無い足でこの部屋には似合わない真っ白の冷蔵庫へと向かう。
中を開けてみるとちゃんと電気は通っているみたいで腐ってたりはしてなかった。
「…あ」
ラーメンとかカレーとかそんなものは入ってなかったけど、見覚えのある色がそこにあった。
「林檎だ」
懐かしの林檎。
優しい甘さが僕をどろどろにした。
どうしてか分からないけど未だにあの日の林檎の味を覚えてる。
ゆーすけ先輩が僕のために買ってきてくれた林檎は甘くてみずみずしくて、美味しかった。
「今更思い出したって、意味ないのにな…」
でも、今思うと真斗以外に優しくされたのアレが初めてだった。
だからかな、心につっかえたみたいに針がずっと抜けないのは。
あっダメだ。
こんな長時間見てたらお腹すく。
「ッ〜〜!!!南無三ッ!」
もう耐えきれなくて後ろに縛られた腕で林檎を床に落とし冷蔵庫を閉めてから、そのまま四つん這いになってかぶりつく。
行儀が悪い?腕を縛ったアイツに言ってくれ。
「っあ、美味し」
カラカラだった口に果汁がじゅわぁぁと広がる。
もっと、もっとと欲が止まらない。
空だった胃が林檎に支配されていくのがわかる。
ダメだ、美味しい、もっと、もっと
いつの間にか林檎はやせ細った形に変わっていて、身体はまだ足りないと叫ぶ。
1回食べたんだ、もう何回食べたって…
思考はどんどん毒されてもう赤赤しいその果実にしか目がいかない。
また力ずくで冷蔵庫を開け、あと数個しかないそれを口に取る。
あと1口、もう1口…
歯を剥き出して齧り付く。
やっと理性を取り戻した時には、今までずっと食べてなかった反動か、血糖値が爆上がり。
そのまま抵抗も忘れて眠りに落ちる…_
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
56 / 63