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「愛」
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「おはよう真斗」
「おう、おはよ」
いつもは凪と2人で登校してるからクラスメートの何かあったのか?感が目線で伝わってくる。
俺はなんで普通に学校来てんだよ、凪が今にも暗闇に放置されてるかも知んねぇのに
「……はぁ」
時間、早く過ぎねぇかな。
「なぁ吉沢今日休みなのか?」
休み時間、体育のペアが同じ奴に声を掛けられた。
そうだと簡潔に返して会話は終了。
担任に見つからないようにスマホを見ては連絡が無いかと確認するけど、画面は動かない。
今凪はどうしているんだろう。
泣いているだろうか。
冷たいところで凍えていないだろうか。
ちゃんと眠れているだろうか。
授業なんて耳に入る訳なくてどこにいるかも分からない愛しい人を脳裏に浮べる。
きっとこれは「愛」だ。
苦しいほどに頭がいっぱいになる。
恋なんて生易しいものじゃない。
「……」
あぁなんか今、猛烈に凪に会いてぇな。
あったら何しようか。
くだらない話でもしようか。
優しく抱き寄せてただ凪の頭を撫でていたい。
お互いの体温を感じるだけでいい。
ただ、会いたい。
会いたいんだ、凪。
ピロンとスマホの通知が鳴る。
幸い担任にばれなかった様でトイレに行くと言って静かに教室を出る。
それは母からで「あなたが入院した時、凪くんと一緒に来てた白衣の方、名前分かる?」と。
そんなのもう一人しかいなくて鳴海先生と返した。
「道路の防犯カメラにね、その方と眠ってる凪くんが映っていたって連絡が来たわ。鳴海さんは学校にいる?」
カメラに…アイツと…?
それってつまり
「凪を誘拐したのは先生なのかよ?!」
「ちょっと!耳元で大きな声出さないでよ…まだそうと決まったわけじゃない、でもその可能性は大いにあるわ」
決まったわけじゃないって、でも写ってたんならもうそれが答えだろ…!
「今日、居る保健室に。今から行ってくる」
「えっ?!ちょっと!待ちなさ」
きっと続くであろう制止の言葉を途中で切って、授業中だったことも忘れて保健室へ行く。
もう頭はアイツをボコして、凪を救い出す。それしか無くて、冷静さなんて持ち合わせてない。
落ち着け、冷静になれ、理性がそう叫ぶけれど、カラダは止められなくて勢いよく保健室の扉を開けた。
「ッ、!えっと君は…」
パソコンの前で、普通に"保健室の先生"をしてる鳴海先生に、フツフツと怒りが沸いた。
「凪の行方、知ってますよね?」
「そうだ!結城くんだよね?よく吉沢くんから君のことは聞いているよ。えっと吉沢くんの行方…って?どういうことかな?」
「しらばっくれてんじゃねぇよ…お前だろ?!凪を誘拐したんだろ!!!」
「ゆ、誘拐?それ本当なのかい?!もしかして…私と別れたあとか…?」
「は…?別れた?」
いつまでもシラを切り通す先生に腹が立ってつい胸元を掴んだ時、思いもしない言葉が聞こえて動きが止まる。
「別れたってなんだよ…あの日!凪に荷物運んでもらってすぐに帰ったって言ったのお前だろ!」
「あぁ、そうだよ。でもその後学校から帰るときに偶然吉沢くんと会ったんだ。何してるのって聞いたら夜風に当たりたかったって答えたよ。その時もう8時を上回っていたからなら家まで送っていくよって車で送っていったら途中で疲れてたのかな、寝てしまってね。吉沢くんの家まで送ろうとしたらもうここで大丈夫だからって道路で降ろしたんだ。だからきっと誘拐が本当ならその後じゃないかな…きっと私が居なくなったのを狙ったんだよ…っあの時私がもう少し吉沢くんを引き止めていれば…!」
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