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「愛」2
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そんなの、今考えた嘘に決まってるだろ…
そう思うのに先生の顔は焦ってて、確かにそれなら辻褄も合う…なんて考えてしまってる。
「それ…本当、なんだろうな…嘘だったらタダじゃ済まさねぇ」
「吉沢くんのことで嘘をつく理由がないだろう?それより!他になにかわかってることは無いのかな?私に出来ることなら協力するよ!」
その言動と行動は明らかに「吉沢凪を心配する良い先生」で、でも良い先生すぎてどこか底が知れない恐怖も少し感じる。
「…まだなんにも分かってねぇ。先生もなんか分かったらここに連絡してくれ」
そう言って母の携帯番号を書いた紙を渡す。
「分かった。ほら結城くん、もうすぐ授業が始まるよ?戻らないと」
「…失礼しました」
一礼してなんの手がかりもなかったと唇を噛む。
どこを探せばいい?
何を見つければいい?
何をどうしたら凪は見つかる?
もう分からなくて、授業は全部机に突っ伏して寝てやった。
「母さん」
「真斗、おかえりなさい」
「あの先生、あの日1人で夜道を歩いてる凪を車で発見してそのまま送ったらしい。家まで送ろうとしたら凪がよく分からない道でここでいいって降りたって、そう言ってた」
「…なるほど、正直にわかには信じ難いわね」
「俺もそう思う、だけどそう言った時の表情とか声とかが嘘をついてるようには見えなくて…」
「…そんな背負わなくていいのよ。真斗がそう感じたならお母さんたちはそれを信じるから」
母さんの手が頭に触れる。
撫でられるなんて何年ぶりだ、?
子供っぽくで恥ずかしいけど嫌な気はしない。
「早く、凪、見つけたい…」
今思うのはただそれだけで。
その他に何を犠牲にしようと後悔なんてしない。
凪、凪、凪。
お前に会いたい。
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