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俺の好きな人2
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「さみぃ〜」
俺は夜のコンビニで買い物をしてきた。今は帰る途中。コンビニに特に用は無かったけど、なんとなく気分転換がしたかった。適当に飲み物とデザートを買った。女々しいことに伊月が好きなデザートを買ってしまった。
「何してんだろ」
冷たい風が頬を撫でる。風の冷たさで気持ちがしんみりしてしまう。気分転換に来たのに、、。
考えごとをしながら歩いていると、伊月の家の近くまで帰ってきた。もうすぐ家だ。この曲がり角を曲がれば伊月の家、そう思いながら曲がると、伊月の家の前に人が居た。
伊月と、、春香さんだ。これから出かけるのかな、それとも帰ってきたのか。俺はなんだか会いたくなくて、曲がり角に隠れた。二人が家に入るかどこかに行くまで待とう。
二人は楽しそうに会話をしている、そして急にチラチラとあたりを見回したと思ったら、伊月が春香さんを抱きしめた。
「最悪、、」
嫌なものを見た。家の中でしろよ。心の中で文句を言っていると、二人は抱き合うだけじゃ終わらず、唇を重ねた。
「、、っ!」
濃厚なキス、映画で見るような、見るのが少し恥ずかしくなるようなキスだった。でも俺の心は恥ずかしいなんて気持ちじゃなくて、苦しいって気持ちで埋め尽くされた。伊月のあんな顔初めて見た。春香さんのこと本当に好きなんだな。ああ目をつぶってしまおう。終わるまで。俺は何も見てない。しばらくの間、目もつぶって耳も塞いだ。ただただ時間が経つのを待った。
トンッ
「うわっ!」
急に肩を叩かれ、振り向くとそこには隼人が居た。びっくりして大声を出してしまったので、二人に気づかれたかもしれないと焦ったが二人はもう居なかった。良かった。
「夏樹何してたんだ?」
隼人が聞いてくる。
「何でもない、、」
「何でもねぇわけねぇだろ、言え」
そう言って、少し乱暴に隼人は俺のほっぺを鷲掴みにした。
「つめひゃい」
隼人の手が冷たくて、俺はそれを訴えたけどほっぺを掴まれていたので上手く喋れない。俺が喋りにくそうだったからか、隼人は手を離した。
「こんな場所で、うずくまってたら何かと思うだろ!理由があるならちゃんと言え!」
隼人の迫力がちょっと怖い。
「何でお前がそんなに怒るんだよ」
俺、こいつに何が悪いことしたか?。何で怒られてるか分からなくて言い返す。
「お前、本当馬鹿だな」
隼人が呆れたと言わんばかりの顔をする。
「帰る」
「えっ」
隼人がそう言って急に歩き出した。喧嘩みたいな感じで別れたくない。
「待てよ、隼人!待てってば!」
「それだけ元気そうなら、具合が悪いとかじゃないんだろ」
え、?それってもしかして心配してくれてたってこと?隼人が、俺の事を、、?どうしよう、隼人に悪い事しちゃった。謝らなきゃ。
「ごめん隼人!俺、お前が心配してくれてると思ってなくて、本当ごめん。せっかく心配してくれたのに、、ごめん俺、馬鹿で、、」
だんだんと声が小さくなっていく、隼人が止まってくれなくて必死に袖を掴むけど、俺の力じゃ隼人は止まらなかった。
「気にしてねぇ」
隼人は止まらずにそう言った。ぶっきらぼうだけど優しい言葉。隼人、昔はもっと意地悪だったのに、なんだか優しくなった気がする。隼人、大人になったんだ、手も大きくなってるし、背も俺より高い。隼人はこんなに成長してるのに、俺はいつまで経ってもガキのままだ。どうやったら大人になれるんだろう。ふとついさっき見たキスシーンが浮かぶ。ああいうことしたら大人になれるのかな。あーあできることならあんなの見たくなかったな。伊月の春香さんを見る愛しそうな顔が頭から離れなかった。
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