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プロローグ
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この世のすべての人間は、完全なる魂を持ってはいない。
生を受けたその瞬間、魂の一部がこぼれ落ちるからだ。
入るべき人の身体を見失った魂の欠片は、人とは別で地上に落ち、精霊として生まれ落ちる。そして彼らは、己の足で共にあるべき魂を探すのだ。
見失った自分の片割れに惹かれ合うように、人はやがて彼らと巡り会う。以降は彼らに護られながら、誰よりも長く、誰よりも深く、その精霊と生涯を共にする。
やがて人の寿命が終わるとき、寄り添っていた精霊も消滅し、完全な魂となって天へと還る。それがこの世の理なのだ。
自然界に住む邪魅精魅、魑魅魍魎とは異なる精霊。魂の欠片から生まれたそのその存在。
それを人は「魄(はく)」と呼んだ。
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