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【愛してるなんて、日常だ】1
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【愛してるなんて、日常だ】
>>遊馬視点
「ゆーうーくんっ」
今日もアパートの隣人が俺の部屋を訪ねてくる。千景元春は同じ大学の三年生で、女子にもモテそうな綺麗な容姿と、たいていのことはなんでも出来る才能を持っている。
去年は、新入生で一人暮らし初めてだった俺を、やたら面倒みてくれた。なんやかやあって今、こいつは俺の彼氏だ。意味わからん。わかんねーよ。わかるけど。……………色々あったんだよ。
押し掛け女房ならぬ押し掛けのゲイにぐいぐい流されたわけではなく、むしろこっちがうっかり手を出してしまってからというもの、俺のほうがどっぷり惚れちまってて、どうしようもない。まあ向こうも向こうで俺を好いてくれてるみたいだし、二人の関係性に、特に問題はない。
嘘。
あるわ、山ほど。
「誰こいつ。あけみって」
元春はポストに入れっぱの合鍵を使って俺の部屋に勝手に侵入し、俺の寝ている隙に俺のスマホのロックを解除する。こんなのはもう日常的で朝飯前で、こいつほんと俺じゃなかったら殴られてるよなとか思う。
「………………えーと」
まだ眠い頭を動かして考える。あけみ。誰だっけ。
「……………………あ、あれだ。母親」
「ダウト。裕美さんだもん。ゆうくんのお母さん」
カーテンを全開にして、目をぎゅっとつぶった俺に、元春は馬乗りになる。
「いやいや、嘘。冗談。サークルの子だよ」
俺にまたがる細い腰に、手を回して答える。
「なんで個人で連絡取んの?」
「…………むこうから来たから……。飲みの予定調整してくれてるだけだろ。ちゃんと読めよ」
「グループで良くない?」
「…………むこうに聞いてくれよ、知らんよ……」
「あとなんで一回嘘ついたの? バレるってわかってるよね?」
「おまえがうちの母ちゃんの名前覚えてるかなあって」
「覚えてるよ。なんで嘘ついたの?」
「だからぁ」
ストーカー気質で、束縛の度合いが最強設定で、変質者で変態のこいつは俺の胸にすがりついて泣き真似をする。なので慰める。茶番劇。わざわざ起こしにきてくれたってことは、朝ごはん作ってくれたんだなあとか呑気に考えながら、俺は元春の頭を撫でる。どちらとも家にいるときの水曜の朝は、だいたいこんな感じだ。
「罰として今日一日中ゆうくんのこといじめるからね」
「えっ……」
「さ、朝ごはん作ったから一緒に食べよ?」
がらっと態度を変えて、元春はにっこり笑う。
ああ、今日も洗濯日和だなあ。
………………やることやったら、ヤることヤるんだろうな。
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