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「………どこ行ってたの」
ようやく元春は口を聞いた。疲れたような掠れた声。
「ん、木山んとこ」
「誰それ」
「この前のコンビニの。後輩」
「なんで?」
「なんで?…………や、昨日飯買いに行ったらコンビニいたから。んで一緒に飯食おうってなって」
「それでどこ行ってたの」
「あいつん家」
「………………」
「…………いや、近かったから。だってコンビニの裏だぜ」
「近」
「な。ウケる。で、」
「ウケない。その時点で連絡してよ」
なんでだよ。言いたいのをぐっとこらえる。
「……ごめん」
「…………………………………それでなんで朝帰りなの」
「………………酒飲んで酔っぱらってそのまま寝ちゃったから」
「お酒飲んだんだ」
え? そこ怒る? お前とも飲んでんだろうが。
「…………今更未成年どうこう言うなよ」
「言わないけど、それは」
「…………別に無視したわけじゃねーよ。悪ぃとは思ってるけどさあ」
「……………」
「………ほんとだって。連絡出来んかったのは謝るけど、友達と遊んでるときに、」
「わかってるよ」
「わかってねーよ。あんたは俺のこと全把握したいのかも知らんけど、俺は友達と遊んだりするし宅飲みも泊まったりもあるよ。それ制限されんのは嫌だ」
「わかってる」
「……………じゃあそれは怒ってないってことでいい?」
「怒ってる」
「怒ってんのかよ。めんどくせぇよ」
元春が俺を抱きしめたのは、優しさでもなんでもなくて、顔を見たくないからだってことに今気付く。だから俺は元春の腕をひっぺがす。むこうがマジで怒ってんなら、こっちだって本音言わないと駄目だ。
バチバチに怒ってんのかと思ったけど、痛みをこらえるように傷ついた顔だったから、俺はほんの少しだけ、冷静さを取り戻す。あとやっぱりこいつイケメンなの、ずるい。
「……何がそんなに嫌なんだよ」
「全部」
「……………俺はあんたの望み全部叶えられるわけじゃねーよ」
「………………………わかってるよ、だから、許してるじゃん」
「は? なにその言い方」
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