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⑵将未サイド
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またあのバ会長に面倒事を押し付けられる。
本当に腹立たしい。
いつも澄ましたような顔をして学力も運動も全て一位。
おまけに会長という座まで。
自分はいつも会長の一つ下。
なんであんな奴がと手に力が入る。
思いのほか力が入っていたのか爪痕ががついてしまった。
バッと力を込めていた手を開く。いけない。
転校生を出迎えなければいけないのに落ち着かなくてわ。
転校生は理事長の甥。
機嫌を損ねないようにいつものように笑顔で。
そう、笑って相手を多少敬ってやれば誰でもすぐ手懐けれる。
いつものように優しい笑顔で完璧な植中将未を。
深呼吸をし校門に向かう。
笑わなければ。誰もが求める植中将未として。
校門の前に来るともじゃもじゃとしただらしない髪に牛乳瓶のような分厚い眼鏡をかけた男が校門をよじ登ろうとしている。
「ちょっと貴方何をしているのですか??」
たまらず不審者に声をかける。
「あ!!俺今日からここに転校してきたんだけど校門が空いてないくて困ってたからよじ登ろうとした!!」
理事長の甥の転校生とはこの不審者だったとは驚きのあまり表情が落ちかける。
グッと堪えてなんとか笑顔を保つ。
「そうでしたか。少々お待ちください。今からお開けしますので。」
「おう!!ありがとうな!!」
無駄に声を上げて話してくる。煩い。
校門を開けると急に転校生が俺の手を掴んでくる。
「‼︎」
「本当に助かったありかとな!!俺は南澤拓!
よろしくな!!」
「ええ、、よろしくお願いします。」
あってまだ数分の仲なのに手を握りしめられ苛立ちを覚える。それを必死に耐えながら笑い返した。
「、、、」
「お前の笑い方気持ち悪りぃ‼︎無理して笑うな‼︎」
「、、、は??」
急に転校生にそんな事を言われてズキっと胸が痛くなる。
「お前なんかよくわかんないけど無理矢理笑ってるだろ‼︎
俺にはわかる‼︎楽しくないのに笑うなよ‼︎ 」
また転校生に言われ俺の中の何かが崩れていく。
笑わなくていい??楽しくないのに笑うな??
今まで言われたことがなかった事をこの転校生は次々と言う。
どれだけ長くいた人達からも俺の笑顔が偽物な事も知られることはなかった。
多くの人が将未様の笑っている姿は素敵だと言っていた。
誰もに優しくて笑顔を絶やさない完璧な俺を求めていたのに。
それなのに目の前の彼は本当の俺を求めている。
今までなかった。
胸が熱くなる。それと同時に満たされたような気分になる
「辛いなら俺が友達になってなるから!!」
笑いながら大きな声で俺に彼はそう言った。
満たされていく。何もかも満たされていく。
「私の名前は植中将未です。拓さん私と友達になってくれませんか?」
俺がそういうと彼は
「おう!!俺たち友達だ!!」
と彼は満遍な笑みで俺に抱きついた。
俺が今まで欲しかったものはこれだったのだと満たされていく心と共に彼の背に手をまわした。
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