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⑼恵次サイド
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あいつらが生徒会室に来なくなってから3日が過ぎた。
机の上には大量の書類の山。
それを一人で片付ける。
連絡も入れたが着信拒否。
あいつら生徒会をなんだと思ってんだ。
沸々と煮えたげるような思いが俺の心を襲う。
あいつらの仕事が全てこちらに回ってくる。
なんとか今の所は一人で回せているがこちらはバイトも掛け持っている。
自身の余裕が徐々に失われていくのを感じる。
飯を食べる時間さえ惜しくなる。
あいつらのことを考えながら黙々と書類を片付ける。
なんとか今日も授業前に片付いた。
肩の力が抜けながら安堵する。
こんな状態を風紀の奴らに知られたらどう叩かれたか分かったもんじゃない。
俺は席から立ち上がり授業を受けに教室へ向かった。
生徒会の者達は生徒会の権限として授業を免除してもらうことができる。
だが俺は特待生である為自らそんな自殺行為はしない。
俺が特待生であることは周りに認識されていない。
俺自身も聞かれないから答えない。
学力が良く何かしらの功績を収めればより多く補助を受けられる為俺は常に何に対しても一位をキープしている。
常に上位であることは俺がこの学園にいることができる最低限の条件なのだ。
長い廊下を歩きながら物思いに耽る。
するとよく見知っている奴らの顔が俺の前で騒いでいた。
「拓は本当に可愛いですね」
「可愛いっていうなよ‼︎将未の方が綺麗だろ‼︎」
「たくちゃん顔真っ赤になってる〜」
「本当だ〜たくちゃん可愛い〜」
「拓ったらまた将未のこと口説いてる」
「口説いてねーし‼︎ほんとのこと言ってるだけだし‼︎」
「これだから無自覚は」
「、、たく、、か、ゎ、、ぃぃ」
あいつらはマリモみたいな頭に牛乳瓶みたいな眼鏡をかけたキモい男を囲って楽しそうに会話をしている。
なんだこれは。
こいつらが仕事をしないでいた理由はこのキモい転校生が原因なのか。
俺は困惑のあまり絶句した。
あいつらついに頭をやってしまったのか。
俺がもう少し気を遣ってやればこんな手遅れなことになることもなかったのにとあの男に失礼な事を浮かべる、
だがどんな理由であろうともあいつらは生徒会だ。
この学園を背負う代表者なのだから自身の責務を全うすることは当たり前。
仕事を放棄するなどと言った中途半端な事が許される筈ない。
「おい、お前ら」
俺はいつもより低い声であいつらの前に立った。
「か、かいちょう??」
凛の声が吃る。
あいつらの視線がこちらに向かう。
「お前らこの3日仕事をしないで何をしているんだ。
風紀に提出する書類も全く手につけていない。
まだ俺がその時は気づいたからよかった。
だが、気づかないで放置していたら責任を問われるのは
俺たち生徒会なんだぞ‼︎
自分が何をしたのかわかっているのか??」
俺が淡々と言葉を言い放つ。
俺を見ていた奴らの顔が青くなっていく。
「おい!!お前!!俺の友達をいじめるなよ!!
ちょっと仕事しなかったくらいでなんでそんなに怒るん
だよ!!
無理しすぎは体に毒だから別に休むくらいいいだろ‼︎」
急にマリモが叫び出した。
それに便乗したのか次々とあいつらも喋り出す。
「そうですよ。拓の言う通りです。」
「たくちゃんは僕たちに嫌なことしなくていいって言って
くれたんだもん」
「僕達だっていっぱい今まで働いてきたんだからいいでし
ょ」
「、、かぃ、、ちょ、ひ、、どぃ、」
「てか、会長様だっていつも早く帰ってんじゃん。
今更俺らに言える立場じゃなくない??
それに俺たちがいなくても生徒会回ってんだから別に俺
たちいなくてもいいじゃん?
もうこれ以上俺会長に指図されるの嫌だからさ〜 」
次々と訳のわからないことをあいつらが言ってくる。
そこに追い討ちをかけるようにマリモがデカい声で言い放ってくる。
「もう将未達に関わるな!!将未達もお前みたいなやつと
関わりなくないだろ??
無理矢理仕事させるなんて最低だ!!俺たちの前に現れ
んなよ!!」
ビシっと俺に向けて指をさしてくる。
そんなマリモを英雄かのようにあいつらは称え上げそのまま去っていった。
、、、、、
「なんなんだよ。一体。」
俺の心情を無視するかのように授業のチャイムが鳴り始めるのだった。
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