アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
第4章 Asymmetrical 2
-
「だーめ! 智樹踊りたいんでしょ? だったら俺の言うこと聞いて? ね?」
でも和人が俺の手からメイク落としを取り上げてしまうから、取り返そうとしたら背中から包み込むように抱きしめられた。
「俺達の仕事ってさ、大勢……ではないけど、客の前で裸見せてさ、とてもじゃないけど人様に威張って言える仕事ではないけど、でもダンサーであることに違いは無いわけじゃん? だったらさ、見てくれなんて気にする必要なくない?」
確かに和人の言う通りだと思う。
所詮ストリッパー、それは紛れもない事実。
でも……、それでも俺はダンサーであり続けたい、いや、そうあり続けなきゃいけないんだ、……俺が殺したアイツのためにも。
それが例え、オナニー目的のイカれたエロ野郎達の前であろうとも……な。
「分かったよ……、分かったから、手ぇ離せ」
俺は肩に回った和人の華奢な腕を払い落とし、再び姿見に向かうと、鏡越しに和人を睨み付けた。
大体、俺とそう大して背丈も変わんねぇくせに……なんなら、和人の方が俺なんかよりよっぽど華奢なくせに、そんな和人の腕に包まれて心臓バクバクさせてるなんて……、ありえねぇし。
「くく、智樹はやっぱそうでなくちゃ」
「うっせーわ」
クスクスと肩を揺らす和人を他所に、俺は鞄から取り出した写真立てをいつものように鏡の前に置くと、
「行ってくるから……」
写真の中で俺に向かって笑いかける潤一に言った。
普段と変わらない儀式をする俺を、和人が複雑な顔で見守る。
分かってる。
いつまでも過去に縛られてる俺を、和人が見ていたくないことなんて、いくら鈍感な俺に
だって分かってる。
でもさ、やっぱ忘れるなんてこと出来ないんだよ、俺には。
「行こうか」
「あ、ああ……」
俺は半ば和人に引き摺られる格好で階段を降りた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
27 / 389