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26 葵 到着
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「…っ、触んな!」
後ろからトントンと背中を落ち着けるように叩かれる
怖くて、椅子から落ちそうになった
「大丈夫 大丈夫。怖かったよね」
それは確実に俺との距離を詰めてくる
「…っ今、やだ」
手が震える
その手を上から優しく包まれた
…この感じ、葵…だ。
なんで。
なんでここにいんの?
「大丈夫だよ。いい子いい子
何も起きないからね」
「………あおいっ」
俺より一回り大きな背丈。
昔から俺を見る時はいつも柔らかい表情をした
紺色のようなオシャレで柔らかい髪色
手は大きくて筋張ってるのにすごく器用であったかい
出会ってから1度もこの手に傷つけられたことはない
いつも守ってもらっている
信用、なんてそんなことはまだできないけど、葵を見ると少し安心するようになってしまったのは否めない
「全然懐いてないと思ってたけどめちゃくちゃ懐いてんじゃん。
呼んで良かったー」
側で絢の声が聞こえる
でもまだ余裕がなくてそれは聞き取れない
葵に体を押し付けたら、いつもよりずっと手や服が冷えていることに気づいた
心臓もいつもよりバクバクしてて、息も切れているような。
ずっと、外で走っていたみたいなそんな感じ。
「…あおい、?」
「ん?どうしたの。」
「帰りたい、ここ、やだ…」
「そうだね。
怖かったね、可哀想に」
冷や汗がいつまでも引かず、変な状態の俺をそっと抱き上げて会計を済ませてくれる
俺は自分の小ささが好きではないけど、こういう風に抱き上げてくれる時、その時だけは安心できてこの身長でよかったと思える
「絢ちゃん、家来な」
「いや大丈夫。
ちょっと用事あんのー」
「これから?」
「そうそうこれからー。んじゃ。
会計ありがとー」
葵と何かをやり取りした絢はひょい、と椅子から降りて直ぐに店を出て行ってしまった
……腕、痛いって、薬欲しいって、言っていたのに。
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