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ジュルル…
ズピ
「あー、さみぃ」
体がブルっと振るえて、指先の感覚が無くなってきたのを初めて感じた。
くそー。あのぬいぐるみの事を考えると何も手につかない。
あのぬいぐるみが来てから数日が経った。最初は棚の上に適当に置かれていたが、今ではぬいぐるみ専用のベッドに寝かせている。
完全に愛着が湧いていた。
俺にぬいぐるみの趣味があったのか?今更開花したとか…?いや、ありえんありえん。
ふっと鼻で笑い、ぐるぐると回る思考に終止符を打つように魔法をかける。すると、暗い牢屋全部が暖かくなる。
『あー、あったけー』
『ありがとな兄ちゃん』
独房に入っている奴らが何か言ってるけど俺はうんともすんともしなかった。
『あ、兄ちゃん。知ってるか?』
俺の後ろから声がした。機会を伺っていたようで、わざとらしい話し方だ。
『この監獄内の管理職に裏切り者がいるらしいぜ。』
周りが聞こえるか聞こえないか位の小さな声だった。だが、俺は何も言わない。ここで声に傾いてしまうと向こうの思う壺であるからだ。
こちらが反応すれば最後。悪巧みの仲間入りという訳である
『兄ちゃんの知り合いにいるかもな』
そういえばコイツは今日入った新入りか…。なぁにが裏切り者だ。1日そこらの奴に耳を傾ける必要はない
そいつは俺が無視しても何か企みの含ませたような声でずっと話しかけてくる。それにつれて俺もイライラが高まってくる。
『そうだな〜例えば、ジャックとかいう看守長とか』
ブチッ
「うるっせぇ。黙れ。」
俺はとうとう我慢できなくなって声を出してしまった。俺の怒鳴り声に反応して周りの罪人達がこっちを凝視しだした。
チッ、めんどくせぇ
複数の視線が全身に刺さる。気持ち悪い視線。俺の隙を狙っているのだ。あわよくばこの独房を出ようと
『くひひ。まぁ気をつけな…』
それきり声は聞こえなくなった。だが、そいつの視線はネットリとこちらを向いていた。
ゲス野郎め。ジャックの名前を出しやがって。コイツは何処でジャックを知ったんだ。
あぁー、気分悪ぃ…
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