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~継弥side~
放課後、僕改め俺はいつも、大好きな図書館に行く。
千明の家からさほど遠くなくて、ちょっと小さな静かな図書館。
レトロな木造建築でびっしりと並んだ本棚の横に、5つ程平行にならんだ横の長い机。
半年前にある理由で家を飛び出し、その時に偶然ここを見つけて毎日通うようになった。
ここでは自分が俺なのか僕なのかもわからなくなる時がある。
そして2ヶ月前くらいから。
小さくて可愛らしい、小顔で美人な男の子が来るようになった。
小さくて小さくて、俺がその腕を握れば折れてしまいそうで。
どこか儚げで消えてしまいそうな本の妖精みたいな子は、よく図書館の隅っこで本を読み始めた。
ふわふわの黒い髪に、触れてみたいと思ったり。
その細い腰に腕を回してみたいと思ったり。
でも実際することはなくて、遠い遠い場所で見守っているだけだった。
そういえば、この前の子も……あの子と同じような雰囲気をまとっていた。
図書館の子と同じ、真っ黒なふわふわの髪。
細い腰と、腕と……小さな身長。
でも顔にはまんまるで黒いメガネを付けていてあんまり顔は見えない。
あの子に、あの時はきつく言ってしまったけど、泣いていないかな……
同じ、儚げな雰囲気を持っている、あの子は。
そうだ、今日こそは話しかけてみようかな……なんて思いながら本を手に取ってペラペラとページを捲る。
そして今日も、その図書館の子はこの図書館に来る。
その可愛らしい大きな目を、精一杯開けて。
「東雲、先輩…………?」
その声は、自分が助けた子の声と、全く一緒だった。
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