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その男の子はしばらくぼーっとしていると、手に持っていたメガネを掛けた。
すると、その顔は数日前助けた子と同じ顔になった。
それが合図になったように自分の中でも無意識に「俺」から「僕」になる。
でも、変わっても驚いていたことに変わりはなかった。
「……君、もしかして一ノ瀬くん?」
「はっ、はいっ!一ノ瀬唯人です!」
目の前にいるふわふわの黒髪の男の子はピシッと姿勢を正して僕を見上げる。
そこでこの子は僕より背が低いのだと気づいた。
そんな僕をどう思ったのか細く可愛らしい眉をへにょりとまげて僕を見てくる。
少し、うるうるしてる?
「あの、争奪戦……すいません」
「はぁ?」
争奪戦?何の話?
はて?と首を傾げると同じ方向に首を傾げる。
「あ、れ……?覚えていらっしゃらない……ですか?」
「うーんと……なんか言っちゃったかな僕。ごめんね?」
「いっ、いえ、あの!俺、この前連絡先聞いたんですけど……」
連絡先、と聞いてピンとくる。
この前あの晃さん達から引き継いだ子だと。
この子を家に送っていた途中に連絡先を聞かれて……それから、僕が争奪戦に勝てって……あぁ~……
「うん、思い出した。で、君は結局来なかったんだった……あーあ、待ってたのになぁ」
嘘だ。待ってたらこの子の争奪戦の事忘れるワケない。
なんて、僕の中の俺が突っ込む。
あは、まぁそりゃそーなんだけどね。
「ほんっと、その節はすいません……!でも、あの、先輩が都合いい時しか、会えないじゃないですか……」
あぁ、ほら、まただ……イライラする。
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