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〜唯人side〜
「……はい、唯人さま。着きましたよ。」
「ん、ふわぁ~……どこに?」
「駅ですよ。寝ぼけてます?」
「えき……ああ、今何時?」
寝ている間に櫻井さんがかけてくれたのであろうブランケットを自分の身体から剥がして眠り眼を擦りながらあくびをする。
後約1時間ほどすれば真上に立つ太陽はすっかり昇っていて眩しい。
「えぇと……あ、後十分で11時ですね。丁度よかった。その寝癖をなおさせてください。5分で仕上げますから。」
「んー、お願いしまーす」
ささっとクシやら水スプレーやらタオルやらが櫻井さんのブラックバッグから出てきてあっという間にぴょんぴょんと跳ねていた寝癖がなおされた。
鏡で確認すると右を向いたり左を向いたりして左右の髪を確認する。
一見したらぎょっとしてしまうようなハネがしっかりなおされていて感心してしまう。
「ほぇ~本当に器用だね、櫻井さんは。」
「今度こそお褒めの言葉でしょうか。」
「もっちろん。あ、じゃあいってこよーかな」
「あ、鞄をお忘れですよ。」
「ありがと。じゃーいってきます!」
「お気をつけて。」
車から出ると、とりあえずきょろきょろと辺りを見回す。
待ち合わせは駅の前にある小さな時計台の前。
時計台の前にはもう先輩が立っていて時計台はどこだー先輩はどこだーと、迷うことなどなさそうだ。
ほっと胸を撫で下ろし、小走りで先輩の元に駆け寄ろうとした時……
「せんぱ…………っ、ぐぇっ」
「……え、一ノ瀬くん!?」
わ、わあー先輩の目の前で転んじゃったよあはははは……(棒)
じわりと涙が出てきたが急いで引っ込めた。
顔を上げて先輩に「……おはようございます」とだけ言った。
「お、おはよ……大丈夫?」
親切に伸ばしてくれた先輩の手を掴んで立ち上がる。
「あ、はい多分大丈夫です。すいません、朝からこんなお見苦しいものを……」
「いや、こっちは全然平気。」
「それならよかったです。じゃ、じゃあ……行きます、か?」
「あぁ、そうだね。」
とりあえず挨拶を済ませると、先輩に勧められてカフェに向かうことになった。
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