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「え」
何だ、このひと。危ない道に走っちゃった変態か。
男同士が濃厚に絡み合った本の表紙を、青ざめたまま凝視することしか出来ない。
姉貴から、今こういうものが流行っていて、男でも男同士の作品が好きな人もいるって聞いてはいたけど。
どう見てもヲタクの道に走りそうにないオーラを放つ、この男が?
女性にモテすぎて、女という生き物に嫌気がさしてしまったのだろうか。
目の前で起こっている出来事が信じられなくて、口をパクパクさせながら凝視したら、木下さんが片眉を顰めて俺を見た。
「何? 視線が痛いんだけど」
「す、すみません」
「……あ」
不愉快げな表情から一転した木下さんに、恐怖で心臓が縮こまった気がした。
俺の中で、イケメンだけど危険な人というイメージが追加されたせいで、木下さんの言動にいちいちビビッてしまう。
お願いだから、便所に行った姉貴には早く帰ってきて欲しい。
「これの原作、俺持ってるぜ? すっげー面白いよな」
「え?」
「俺もその同人ゲーム買うから、一つ取っといて」
綺麗な指先が、姉貴の売るスペースを指さす。
まさかと狼狽しながらも視線を下げれば、机上に置かれていたのは男同士がキスしている絵が描かれたゲームだった。
「ちょ」
これは多分、便所に行く前に姉貴がこっそりと並べたんだろう。
木下さんに言われるまで、こんな物が置いてあることに、全くと言っていいほど気づかなかった。
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