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「美形×平凡っていうのがあるってことは分かったけど。それが俺たちだっていうのはおかしいと思い……マス」
「何でだよ」
「……俺たちは友達じゃん」
ポツリと、本当に小さな声で思ったことを呟いてみる。
「……確かに、そうだけどさ」
若干拗ねた口調にハッと顔を上げれば、少しだけ目を伏せた悲し気な表情の木下さんがいた。
怒ってなかったことにはホッとしたけど、その表情を見ていると少しだけ胸が苦しくなる。
「友情から始まる恋だってあるんだ。つか、俺がお前のことを好きな時点で、もう完璧に美形×平凡だろ」
「……はぁ」
気の抜けたような返事になってしまったけど、当然だと思う。
望めばいくらでも女性とお付き合いできそうな美形が、一生に一度告白されるかどうかってぐらい凡々な俺に夢中になる意味が分からない。
今日の正門での様子だと、この顔で迫られたら男だって落ちると思うのに。
「木下さんなら、直ぐに彼女や彼氏が出来ると思うんですけど、何で俺なんですか」
「は? そんなのこっちが聞きてーっつの」
「え」
「俺の心を鷲掴みにしてきたのはそっちだろ。何で俺を落としたって聞きたいぐらいだ」
心臓の位置を服の上から握って、鷲掴みにされたというジェスチャーをした木下さんに口端が引き攣った。
適当すぎないか。
勿論そんな事は、口が裂けても言える筈がなかったのだけど。
相手は高三の俺とは違って大学生、こう見えて年上だ。
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