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「きゃー! 木下くーんっ」
「おはようございます! 木下さま!」
「うっす木下」
「今日はどうしたよ。いつもより来んの早いな」
約束通り木下さんに連れられて、木下さんの通う大学に来たは良いけど。
漫画の世界にいるのではと疑いたくなる数々の挨拶に、顔が引き攣った。
まるで学園のアイドルのような扱いじゃないか。
「昌平、わるいな。煩くねえか」
「……大丈夫です」
「そうか」
本当は、今すぐにでも帰りたい。
そう思っていた筈なのに、木下さんの安堵に満ちた微笑みを見た瞬間、そんな気持ちは一瞬にして吹っ飛んだ。
心臓が高鳴ったのと同時に、周りから絶叫のような悲鳴が上がって思わず両手で耳を塞ぐ。
「きゃー! 今の見た!? あんな笑顔はじめてみた!」
「あたし写真撮り損ねちゃった」
「俺、ちゃんと撮れたわ」
「売って! それ売って!」
「あたしが先よっ!」
「どけよ、俺が先だっつの!」
俺が想像していた、大学生は大人のイメージが儚くも崩れ去っていく。
地味にショックだ。
いつかは知る事になっていただろうけど、こんな形では知りたくなかった。
肩を落として溜息を吐けば、木下さんの大きな掌に頭を撫でられた。
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